嘘をつかずに人を騙す報道

英で多数のUFO目撃証言=チャーチル元首相も関心−解禁文書
2月18日9時8分配信 時事通信
 【ロンドン時事】英国で1994年から2000年にかけ、多数のUFO(未確認飛行物体)目撃情報が当局に寄せられていたことが、18日解禁された英国防省の機密文書で明らかになった。
 AFP通信が報じたところによると、文書は6000ページにわたり、UFOの目撃証言などについて記載。目撃者の一人、ウェールズ南部在住の男性は97年、乗っていた車が約5分間、「巨大な星」のような光に囲まれたと警察に通報した。男性は翌日、体調不良に陥り、皮膚に異常が生じたという。
 同時に公開された52年の文書では、当時のチャーチル首相がUFOに強い関心を寄せていたことが判明。チャーチル氏は「飛行する円盤は何を意味するのか」と当局者に説明を求め、(1)錯覚現象が起きた(2)航空機や鳥などを見間違えた(3)意図的ないたずら−のいずれかの可能性が考えられるとの返答を得ている。 
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100218-00000051-jij-int

この記事に対するコメントはというと、「地球に生物がいるんだからどっかの星に別の生命体がいてもおかしくない。」「イギリス人は、こういうのが好き」「宇宙人ではなく、未来の地球人だったりしてね」…。
いや、その。
同じ時事通信が12月にこういう記事を配信してるんだが…。

【こぼれ話】英国防省、UFO調査部署を廃止=宇宙人の脅威ないと判断
【ロンドン4日AFP=時事】英国防省は4日、過去50年間以上にわたって未確認飛行物体(UFO)目撃報告の調査に当たってきた部署を廃止したことを明らかにした。
同省は声明で「地球外生命体が存在するのかどうかなどに関して何ら意見は持ち合わせていないが、これまでの目撃報告に英国への潜在的脅威の証拠となり得るものはなかった」とし、人員や予算をより現実的な脅威への対処に振り向けるためと説明している。
廃止に伴い、電話や電子メールでのUFO目撃報告受け付けは今月1日に停止。担当職員1人は別の部署に異動したとしている。 
声明はまた、「国防省には目撃例の真偽を確かめる能力はない上、調査に国防上の利益もなく、人員や予算を使うのは不適切」と指摘。同省報道官は「予算などは優先度の最も高いアフガニスタンの前線に集中的に投じられている。英領空への本物の脅威はレーダー網がとらえ、空軍の戦闘機が対処する」と述べた。
〔AFP=時事〕(2009/12/05-17:29)
http://www.jiji.com/jc/a?g=afp_int&k=20091205024111a&rel=y&g=afp

つまり英国は、「宇宙人がいるかどうか興味は無い、いたとしても英国の脅威でない」と判断した。そして、全く重要でないと判断されたそれまでに収集した情報を公開した、ということ。
上のほうの記事は何もウソをついていない、ただ前提となる話を伏せただけだ(厳密に言うと伏せてさえいない、ちゃんと下の記事へのリンクを貼っている)。
なのにまぁ、釣れる釣れる、爆釣だ。このリテラシーレベルには、なんかもうこっちのほうが絶望的な気分になってくる。これは記事自体は毒にも薬にもならないからいいようなものの、これと同じことが(ていうかもっとヒドイことが)政治・社会分野の報道でも起きてるんだからなぁ。