光画部時間と鹿島時間

「前後に2時間の余裕を持つ。光画部時間は世界の常識だぞ!」
とまぁ『究極超人あ〜る』が世に出て以降、仮に待ち合わせ時間に遅刻しても、それが2時間以内なら何ら気にする必要はなくなったわけだ。さて、ではこの「光画部時間」、元ネタは一体どこにあるのだろう?
まず、作者ゆうきまさみの全くのオリジナルのアイデアではないだろう、と見当は付く。ただ、それほど時間にルーズでも許される世界なのだから、いずれにせよ学生が仲間内で使っていたのがルーツだろうと思っていた。
ところが、だ。
先日仕事で、鹿島町役場発行の「広報かしま」の昭和45年8月1日号を見る機会があった。その最終面にこう書かれていたのである。

会合は時間厳守で
"鹿島時間を追放しよう"

・参会者は、開会5分前に集まりましょう
・会合への不参加、または遅れるときには、主催者に連絡しましょう

鹿島時間、である。これもどうやら、会合の開会に遅れてくる悪習を指しているらしい。
そこで"鹿島時間"とウェブ検索をかけてみた。すると、その意味を伝える記述や伝えてくれない記述がヒットした。

http://city.kashima.ibaraki.jp/file/upload/img/6100_doc2_20091002130921.pdf
上記URLは鹿嶋市が平成15年に実施した「鹿嶋市の教育に関するアンケート」の調査結果。p206,17行の「鹿嶋人とは」とのアンケートに対する回答のなかに

「*時間にルーズ(30分位遅れるのは当たり前)会合等でよく鹿島時間といわれている」

と書かれている。

http://terutake.spaces.live.com/Blog/cns!A186FBD97EA16340!3875.entry
こちらのURLには、より具体的な「鹿島時間」の説明があった。

私の住む街には「鹿島時間」と呼ばれるものがあって、集合時刻の30分後位までの間にみんなが集まることを表しているのですが、5分前集合が身についている者には不思議な感覚です。

http://blog.goo.ne.jp/hatimitsu_buchou/e/2c88717dce44c81742ac70758ab5d818
こちらでは何の注釈も無く登場。

鹿島時間にやられ(w、最後の方のお写真しかございませんorz

説明無用なほどに、今も普通に使われている言葉だと考えるべきだろう。40年も前から「なくしましょう」と言われていた悪習が現役というあたりに、土地に根ざした風習の強さを感じるが、それはまぁ私の興味の範疇ではない。
興味は、「「○○時間」があるのは鹿島に限ったことなのか」という点と、「それはいつから使われている言葉なのか」という点だ。
前者については、ゆうきまさみの出身は北海道は虻田郡倶知安町。現地の人には悪いが、いかにも時間にルーズそうな土地だ。あるいはそこにも、例えば「倶知安時間」があったのかも……。
…ってあるのか!? "倶知安時間"でググるとそれっぽい記述がヒットする…が、うーむ、微妙に違う感じだ。
もう一点、「「○○時間」という言葉はいつ生まれたか」の謎だ。これはまぁふつうに推測して、衛星中継によって海外のリアルタイムの状況が広く一般に伝えられるようになった頃、「ロンドン時間」「リオデジャネイロ時間」といった言葉が耳新しかった頃(あるいは耳になじんだ頃)だろう(ひょっとすると国際電話が登場した頃かもしれないが)。
俗語的な用法だが「〜時間」では俗語として記録した資料も探しようがなく、調べる手だてが無く、どうにも行き詰まってしまう。
(続き→http://d.hatena.ne.jp/UnKnown/20120706