「歩鳥は毎日楽しいか?」
「楽しいよ」
「なんで?」
「え?? なんでといわれても…」
「それを言葉にしていくのが小説なんだよ
突飛な事 書こうとしてもだめなんだよ」
…という会話が、作品内でその作品自体を評しているようで面白い「それでも町は廻っている」(通称「それ町」)の5巻を購入した(ってモタモタしてる間にもう去年の出来事…。去年といい、正月4日のエントリは石黒正数に縁があるなあ)。
- 作者: 石黒正数
- 出版社/メーカー: 少年画報社
- 発売日: 2008/12/26
- メディア: コミック
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しかもそのうえ、上で引用した会話では「突飛な事を書こうとしてもダメ」といってるくせに、宇宙人だの幽霊だの雪女だのメッシーだのがひょいひょい出てくるわ、ヒロインは一度死んでるわ(結果的には臨死体験だったが)で突飛な事もかなり多いんだよね。でも、それらさえも「ごくありふれた楽しい毎日」は呑み込んでしまう。
特に5巻は裏表紙で「今巻は日常の中に実は潜む事件の数々。その事件は実在するのだが、歩鳥の日常は相変わらずなのだ」と書いているくらいで、かなり意識的に「日常 対 突飛な事」をやろうとしている。
……そこまで強固な「日常」って、ひょっとして恐怖すべきものじゃないか…? そんな観点から「実は『それ町』はモダンホラー」論を唱えたくなったがめんどくさいのでパス。5巻の不満はアレだ、真田君の出番が少ないからラブコメ要素がほとんど無いことか。歩鳥のモリアーキーへの恋心も無いも同然になってるしなぁ。