「エロゲー」は「エロゲー」である

このブログでは以前「痛車」について取り上げた(2008年09月01日付)、日経ビジネスオンラインの連載「川口盛之助の「ニッポン的ものづくりの起源」」からの話題をひとつ。11月10日付の『きっかけは「滝川クリステルTV」開発でした タカラトミーツンデレTV「SEGNITY」に見る愛着主義』という記事です。
http://business.nikkeibp.co.jp/article/tech/20081105/176319/
何を今さらSEGNITYかという記事の本題はさておいて(読めばちゃんと面白いです念のため)、当ブログ的に取り上げたいのは「エロゲー」の扱い。ツンデレの出自の説明として、このように書かれています。

ツンデレというワードも元々は「エロゲー」と呼ばれるアダルト向けの恋愛ロールプレイングゲームが始まりとも言われています。

以前、別の日経ビジネスオンライン記事では、「エロゲー」と書くのが妥当と思われるものを「成人向けゲーム」と表記していました(2008年8月20日付「erotic video game」は「成人向けゲーム」か?)。
対してこの記事は、「エロゲー」をあくまで「エロゲー」と扱い、その意味の説明として「アダルト向けの恋愛ロールプレイングゲーム」と補っているのです。「ろ、ロールプレイングゲーム???」との疑問は禁じ得ませんが、まぁ広義「役割を演じるゲーム」と捉えれば間違いではないでしょう。
他の言葉では言い換えが効かない「エロゲー」が、ともかくも一般向けの記事に登場したことに、オタク文化の浸透あるいはオタク市場の拡大を感じます。

エッチビデオからエロゲーという、大きな声では言えない世界で見え隠れする人間の本性のようなものは従来アングラな扱いでしたが、うまく表面処理して表社会にも出てきているのが萌え系なわけです。やはりオタク市場は目が離せません。

エロゲー」というルーツを踏まえての、この「萌え系」の理解も妥当と思えます。確か大塚英志だったと思いますが、オタク系の評論家が度々「お前ら『萌え』とかオブラートにくるんで言ってるけど、その本質はぶっちゃけ性欲の世界なんだよ」とあたかも醜聞を暴露するが如き批判的な論陣を張るのに対して、同じことをいいながら逆向きに「うまく表面処理して表社会にも出てきている」ことにこそ注目するのが川口盛之助クオリティでしょうか。
ただ一方、通常「アダルトビデオ」「AV」「エロビデオ」古めかしくは「ポルノビデオ」とか呼ばれているものを、どうしたわけか「エッチビデオ」と表記してるんだよなぁこの記事。そこがわからない。「エロゲー」に対して「エッチビデオ」は、いかにもこなれていない言葉という印象で、結果「エロゲー」を強く印象付ける効果をもたらしてますが、それが狙いとも思えない。非18禁のイメージビデオまで包含した呼称として用いているのでしょうか。写真集ですが、非18禁の『妄撮』を具体例として取り上げてますし。