『コドモダマシ』

反社会学講座』に始まり『反社会学の不埒な研究報告』ときて『つっこみ力』と、昔の本ほど面白いパオロ・マッツァリーノ。なので9月の新刊『コドモダマシ』はスルーを決め込んでいたのですが、私同様に過去作のほうを評価している人たちからも良い評判が聞かれてきたので購入してみた。

コドモダマシ―ほろ苦教育劇場

コドモダマシ―ほろ苦教育劇場

デキちゃった婚って何? 格差って? 体罰ってなぜいけないの? 
一筋縄でいかない問題を、あなたなら子どもにどう説明しますか?
こまっしゃくれた息子にタジタジのお父さん。どこにでもありそうな家族を主人公に、異色の社会科学習を展開します。
暴論のようで正論。ヘリクツと思いきや実は真実。毒も薬もたっぷり仕込んだマッツァリーノ劇場へ、ようこそ!
(春秋社ホームページより転載。http://www.shunjusha.co.jp/detail/isbn/978-4-393-37325-5/ )

なるほど、これはよくまとまっていて面白い。『〜研究報告』で模索をはじめ、『つっこみ力』の段階ではどうにも中途半端でギクシャクしていた「落語スタイル」「面白さ志向」といった方向性が、ここにきてグッと洗練されました。単純に『反社会学講座』と比較すれば、やはり軽め薄めという印象にはなりますが、それは方向性の違いと理解できます。ホームドラマとしても良心的というか、案外と真っ当なものになっており(ここがさりげに凄いとこ)、これは広くお勧めしたい一冊。