「erotic video game」は「成人向けゲーム」か?

さて、NBO『角川、「YouTube」に寛容な決断』についてはここからが本題。とはいえ2ページ目の閲覧には会員登録が必要なので、まずは内容の一部をかいつまんで説明します。
……同人誌は著作権の侵害に当たるけれども、出版社はそれを見て見ぬふりしている。そればかりか角川は、20年も前から同人マンガ界から新人作家を発掘していた。ユーチューブとの協力でも再び同じ試みをしたいと考えている……というお話。そして、優れたMAD動画製作者には既にコンタクトを取っているそうです。

6月下旬、ある日本の大学生(23歳)は自作の動画について角川から電子メールを受け取った。「涼宮ハルヒ」のイントロ部分を、成人向けゲームのサウンドトラックと合成した作品で、既に60万回視聴されていた。

「成人向けゲーム」って……いや、そのとおりなんだけどさ…。「成人向け」と書く必要は無い。というか、その出自は無視して「「涼宮ハルヒ」のイントロ部分を、全く無関係なゲームの主題歌と合成した作品」という説明のほうが、むしろ的を射ている。
この部分、原文はどうなんだろう? と見てみると……。

〜his video, which mixed the Haruhi Suzumiya intro with the soundtrack from an erotic video game. It had been viewed 600,000 times.

” erotic video game”! あはははは。これって「成人向けゲーム」ではなくそのまんま「エロゲー」でいいだろ日本語訳(笑)。
ていうか、大元は「エロゲー」だったのが、英訳時に「erotic video game」になり、それを「成人向けゲーム」と誤訳したと考えるのが妥当でしょう。
ともあれ、日本のエロゲーは、既に一般的なポルノとは大きく違った存在となっていること(ポルノ由来ではなくオタク文化の周縁に位置付けられる存在であること)、にもかかわらずオタ文化の外側からはその違いがわからないことを改めて思い知らされます。
いずれその違いが一般に認識され、erotic video gameが「成人向けゲーム」ではなく「エロゲー」と正しく訳される日がくるのでしょうか? そして「エロゲー」がerogeiと訳される日が。そう、アニメがanimationではなくanimeとなったように。


これが件の「「涼宮ハルヒ」のイントロ部分を、成人向けゲームのサウンドトラックと合成した作品」。角川がそういう姿勢なら、こちらも気兼ねなくリンクを貼れるというものです(元々気兼ねなんてしてないくせに)。