バンブーブレード

#22「敗者と勝者」
番外編的だった前回から一転して急展開……って急すぎるわ! などとツッコミもそこそこに、前回までの不満が吹き飛ぶ凄まじい展開になってきました。

アニメスタッフはどうやら、作品の重要な立脚点である「負けても楽しい部活動」を、「勝ってなんぼの剣道」と真正面からぶつけて揺るがしてしまうらしい。是非はともかく、そういう挑戦は買いたいですな。回避する気になればどうにでも回避できる問題なのに、あえて前面に出すか! と。(え? 「終盤の鬱展開は深夜アニメのお約束」?)

稽古メモよりマスコットづくりを優先するキリノの場面とかはもう、描写があまりにも露骨過ぎて挑発的でヒヤヒヤします。この段階で18話を振り返ると、、「なんで……負けたのにこんなに楽しそうなの――?」という小西の台詞は自身の反省であると同時に、室江高剣道部のあり方に対する率直な批判でもあった、と理解されますな。

コジローは試合中、お気楽ムードの部員たちを見て「こいつら、ちょっと緩んでいるな…」ともらしてましたが、そもそも優勝を目指しているのはコジローの個人的事情と私欲のため。今回の前半部分で、それをわざわざ再提示している。そうしてダメさ加減を改めて見せたうえで、まるでマトモな指導者のような意識で試合を案じる描写が入る、このイヤらしさよ!

外山の暴力事件にしても、単に外山ら自身の問題ではなく、コジローの指導者としての資質が問い直される話になるのでは、と期待。7.5巻の記述とか一部ファンの声とかで「コジローは先生and指導者として意外と優秀」みたいに言われることがあるんですが、「外山を放置してたのにそれは無いだろオイ」てな引っかかりがずっとあるんですよね。

不満といえば、ギャグというかコミカルさが足りないことか。どうも次回もこの雰囲気がつづくようだし……。シリアス基調の展開とはいえ、少しくらいは力の抜けた部分が欲しいところ。ここらへんは原作のさじ加減が奇跡的でなぁ。コジローが痛めつけられ、苦しみ、悩み、そして立ち上がるシリアスなドラマをやっている間、サヤは尻の痛みにのたうちまわり、東はひたすら道に迷い続けている、とか。

ああ、不満はもうひとつ、アトミックファイヤーブレードを使うまでに、タマちゃんの躊躇や葛藤がほとんど描かれなかったのも物足りないですな。もうちょっと引っ張って欲しかった。

あああ、あとアレだ。前回の大会が終わった後でコジローは「タマをもっと強い相手と戦わせたかった」と言っていた、つまりタマちゃんと同等の選手がいると知っていたのに、今回は必勝を信じ込んでいたことにも違和感があったな。