/ガンダムOO予想

私が嫌いな言葉のひとつに「Win-Winの関係」「ウィンウィン」がある。そう、『鋼の錬金術師』第38話において、シェスカがウィンリィの名前を勘違いして口にした名前……ではなく。「「自分も勝ち、相手も勝つ」――取引などにおいて、関係する両者ともにメリットのある状態であること。」とかいう奴だ。
「非ゼロ和」「非ゼロサム」(http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%9D%9E%E3%82%BC%E3%83%AD%E5%92%8C)なんてえ言い方もするが、「バカを言え」と。双方が勝者で総和がゼロを超える関係なんてのは、その実、本来ならどちらかが負担すべき負け分を、双方の関係の「外」から調達しているだけだろ、というのが私の考えだ。(もちろん例外に見えるケースもあるが、その場合に外の外の外…まで考えてみることは想像力のトレーニングになる)
そこで『鋼の錬金術師』に話を戻すと(戻るのだ)、「等価交換の法則」と「人体練成」というのはまさにそれで、世界は基本ゼロサムなもんだから、非ゼロサムである人体練成のためには「扉の向こう」から不足分を調達する必要があった、てな設定だった。
あ、原作はさわりしか読んでいないので、以下アニメ設定ベースです。
でもってアニメ『鋼の錬金術師』は、そこからさらに一歩踏み込んで、一見「等価交換(ゼロサム)」に見える関係は、実は「非ゼロサム」であり(錬金術という行為に消費される分のプラスがあるから成立している)、そのためには並行世界から魂を調達してエネルギーにする必要があった、という裏が明かされた。
言い換えれば、一見ゼロサム・ゲームであっても、参加者が誰もエントリーフィーを支払わないなら、外からその分を調達することになる、ということである。
さて、そこで『機動戦士ガンダムOO』である。
「各超大国家群は己の威信と繁栄のため、大いなるゼロサム・ゲームを続ける」というストーリー紹介を読んだときには、正直アタマおかしいんじゃねぇの?と思った。戦争の継続による消費を考えれば、ゼロサムではありえないではないか……と思ってハタと気付く。設定上すでに「参加者の外」があるではないか。
それは、ガンダムを所有するという私設軍隊ソレスタルビーイング、だけではない。3超大国群の外に太陽光発電システムの恩恵を受けられない「第三世界」が存在しているのだ。
無論、設定上は「超大国群に搾取される第三世界」という図式は成立しないのだが、戦争状況の説明にあえて「ゼロサム・ゲーム」という言葉を持ち出してきた意味を、「監督・水島精二」と併せて考えたとき、かかる連想が働くのである。