コロンボ解説本

別冊宝島 『刑事コロンボ完全捜査記録』 (別冊宝島 (1330))

別冊宝島 『刑事コロンボ完全捜査記録』 (別冊宝島 (1330))

傑作推理ドラマの金字塔『刑事コロンボ』を、さまざまな角度から味わい尽くすためのガイドブックです。
主筆・監修の町田暁雄氏をはじめ、執筆陣が皆コロンボ・ファンという、まさに「ファンによるファンのための本」です。
執筆陣の読みの深さと、知識の豊富さに舌を巻き、コロンボ熱にあてられること必至。「えのころ工房」によるイラストも、それ自体が自立した作品です。

新・旧全69エピソードの徹底解析、名優ピータ・フォークのすべて、豪華ゲストスター、素晴らしき日本語吹き替え陣、放映裏話、未映像化シナリオなど、『刑事コロンボ』の鑑賞ガイドとして、本書にまさるものは、アメリカにさえありません。
(amazonの詳細ページより)

権利関係の調整が難しかったのか、画像写真は全く使われておらず(そもそもマルCの著作権表示が見当たらない…)、代わりにイラストが使われている。各回のメインのゲストの顔は写真と見まごうばかりの精緻なイラストで、見所の紹介は巧みにディフォルメされたイラストで描かれているのだが、これがどちらも見事なもので、大きな魅力となっている。
文章については、ネタバレを抑えつつ1話完結TVプログラムのあらすじを紹介するのは難しいのか、「あらすじ」を読んでも頭に入ってこない回が多数あり。しかし「解説」は要点を簡潔にまとめながらなかなかにディープで、かつマニアの文章にありがちな「ふうん、君には楽しかったんだ」という部分も無い。この本を読んで「こりゃ一度は(あるいはもう一度)観ておかないと」と思ってしまったエピソードが多々あるから、これはもう著者の勝利だ。蛇足だが、ふだんミステリの評価は全く読まない(ミステリ自体ほとんど読まない)私には、「フェアである」という評価基準がちょっと面白かった。