オタスケマンの闇

先日カートゥーンネットワークで始まった「タイムボカンシリーズ タイムパトロール隊オタスケマン」が面白い。その前まで放送していた「ゼンダマン」は、どうにも「ヤッターマン」の二番煎じどまりだったが、「オタスケマン」には根本のところから新しいことをやろう、という意欲が感じられる。

敵の目的が「歴史改変」だから、前作までの宝探しパターンと違って、タイムトラベルでなければならない理由、歴史上の事件に関わらなければならない理由がちゃんとある。それに対抗する正義の味方は組織化されていて、子供が片手間で作ったメカで正義の味方気取りという前作・前々作の無理も解消された(もっとも、オタスケマンが何故オタスケマンなのかは謎…)。オタスケマン、オジャママンがともに正体を隠してTP隊に所属しているなど、少しひねった設定も面白い。「タイムボカンシリーズなんだから深く考えないでね」の部分も少なくないのだが、そこもまたあえて突っ込むと、新しい物語が想像できる。

最大のツッコミどころは「タイムパトロール隊が取り締まる時間犯罪者はトンマノマントだけ」という点。1年のシリーズのなかにはゲスト的に他の犯罪者もいたかもしれないが、TP隊はとにかくトンマノマントによる歴史改変を未然に防ぐことをその主要な任務としている。では、いかにして「未然に」防ぐのか? というと、どういうわけかTP隊のロボット・ヒネボットがトンマノマントの通信を察知できるため、そこで手下のオジャママンへの指令を傍受し、どの歴史を変えようとしているかを把握する、というプロセスをとる。指令を受けるオジャママンの正体は、あろうことかTP隊の実働部隊の3人(4話からは4人)。しかし、その正体は何故かバレない、というか疑われることもない。

……ひょっとして、トンマノマントってTP隊のマッチポンプなのでは? 時間犯罪者がいなかったらTP隊はその存在意義を失う。だから愉快犯的な時間犯罪者をでっち上げ、隊員をそそのかしてオジャママンとして利用し(オジャママン自身は騙されていることに気づいていない)、週1ペースで出動する事態を引きおこしている。トンマノマントの計画が毎回必ず失敗するのはオタスケマンが優秀だからではなく、初めから予定されていた展開だからだ……。

ま、実際にはトンマノマントの正体は(自主規制)であって、TP隊のマッチポンプではなかったのだが(近い部分もあるにはある)、ひょっとすると企画段階ではこんな設定だったのかもなぁと夢想するのも楽しいだろう。


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つか「目くらまし」はめくらと関係ねぇ――――ッ!!!(第3話) なに音声消しとるんじゃぼけ――!!