週刊少年ジャンプ#26

ToLOVEる―とらぶる―
前回までは毎回必ず全裸のコマがあったのに、今回はパンチラだけか。どうでもいいことだがちょっと気になった。このマンガ、感想を書くような内容はないのだけれど、だからこそ「深く考えない(≒読者に考えさせない)ことの大切さ」を毎度思い知らせてくれる。「エム×ゼロ」は、設定やシチュエーション、心の動きをあまりにも考え過ぎていて窮屈だからな……。一方、考えが無さ過ぎると「ツギハギ」「タカヤ」になってしまうので、実は絶妙なバランスの作品なのかも?

謎の村雨くん
隕石直撃という有り得ないレベルの大ハッタリをかましておいて、それは最初の一撃どまり。中心となる危機的状況は体育館崩壊のほうっていう尻すぼみは一体……。逆に言えば、体育館崩壊がメインなら隕石を落とす必要は全く無いわけで(地震耐震強度不足とかのほうがよほどスッキリする)、「話のスケールのコントロールが致命的に下手な作家」という評は正鵠を射ていたな、と自惚れてみる。
のん気を演じていたら尋常ならざる冷静さと見られる皮肉や、正体がバレる危険を冒してまで村雨が自分を救ったことに気づく壬生なんてあたりはなかなか読ませてくれるのだが……。

太臓もて王サーガ
掲載位置が突如前進、これなら1周年を迎えられるか? 閑話休題、「外側」からの訪問者によって作品世界の異様さが再確認される、というコメディの常道を行く回だったが、話の焦点を絞りきれていないからかやや散漫な印象に。準レギュラー級の登場人物の顔見せを兼ねているとはいえ、もう少し内容を絞ってもよかったのでは?

魔人探偵脳噛ネウロ
春川は直接関与しないまま、事件という事件は起こらぬまま(食中毒多発で学食閉鎖は大事件だが・笑)、ネウロの悪意が裏目に出て弥子は危機を脱してめでたし、めでたし。……ってこれでいいのか!? 次の事件に向けての幕間ということなのだろうが、ならば前後編でまとめてほしかったな。

みえるひと
状況説明&澪の本格参戦&新たな敵の登場でジャンプ系バトルマンガのカラーが一段と色濃く(苦笑)。まぁ現状で『ジャンプ』の主力バトルマンガである「ナルト」は無駄に状況が入り組んでわけがわからないし、「ブリーチ」は無駄に入り組んだ状況をほったらかしてダラダラと修行編だし、「H×H」はいつ再開するかわからないし(再開したところでいつまた落とすかわからないし)、そろそろ次の世代が必要なのだろう(ムヒョロ、リボーン、Dグレがあれば十分な気もするが)。
前回のバオ絡みの話の流れや、今回の「…今はオレが明神をやってる…」あたりの会話など、静かな場面でひょいと巧いところを見せてくれるので(ネーム量のさじ加減も巧い)、その巧さを「作家性」にまで育てて欲しいもの。バトル一辺倒は勘弁して欲しい。

ツギハギ漂流作家
本は読むもんだぞこのDQNが。つーか、フヒトがDQNなのはいいとしても、店主が何一つクレームをつけずに言われるまま本を売るってのはどういうことだ? それと主人公、なにが差し迫ってるわけでもないのに、テメエの都合だけで未開の土地の地形を変えるなクズ。つーか、主人公がクズなのはいいとしても、誰かその行為を諌めろよ。
とひとしきり毒を吐いたところで真面目に評論。「漂流録が他に並ぶものの無い娯楽の主流である世界において、漂流録はどう扱われているのか?」を作者が十分に考えた形跡がなく、結果「高名な漂流作家が漂流録を玩具にしている破天荒さ」に、あって然るべき衝撃が無い。あのバカ女なり店主なりが「何をやってるんだこの人!?」と驚きつつも、読者に対して作品世界の規範を説明すべき場面だろう。床崩しのほうも、「あえて床を崩さなければならない理由」を示さないが為に悪い印象だけが残る。「さっきぶつかったときの感触で真下に大空洞があるとわかった」とかいうつもりなんだろうが…。
作者の考えの浅薄さは連載開始当初から再三指摘してきたが、とうとう最後まで直らなかったか(まだ終わってないって)。

最終回『タカヤ―夜明けの炎刃王―』
とんち番長」の中盤以降を凝縮したマンガ、と書くと傑作のような気がしてくる。打ち切り終了は当然とはいえ、そこまでのあまりに見事な迷走は見応え十分だった。
主にヒロイン人気で読切版は金未来杯優勝、連載開始前はラブコメにもバトルものにもなれる可能性を感じさせながら、いざ始まってみればバトル中心に。かと思えば、ルームメイトのウンコ髪など寒いセンスのお笑いを交えつつ巨大学園での生活が描かれて、じゃあコメディでいくのか? と思いきややっぱりトーナメント戦になり……。ああ、ジャンプではこういうのが安定するのかな、などと油断したところで唐突にヒロインをフィーチャーしたアイドル勝負が始まり、でもそのネタも使い捨てで終わってトーナメント戦に戻って……。一区切りついたと思うと唐突にファンタジー編の開幕。「まぁ格闘技以上にハッタリきかせたバトルをやるには異世界ってのはアリだろう」と無理矢理納得しようとすれば、繰り広げられるのはなぜか寒いコメディで、最後は結局バトルに戻った。
……こうして書き出すと「とんち番長」なんてはるかに凌駕してるわ。作者が本当に描きたいものは何だったのか、編集部にはどんな目論見があったのか(ていうか誰の示唆及び許可のもとであれほどの迷走が可能だったのか)を問い質したくなる逸品だ。序盤のウンコに終盤の鼻クソというのも、作者の幼児性の表出なのか、それとも低年齢層の読者を意識してのことなのか判断しかねるんだよな。