週刊少年ジャンプ#23

新連載エム×ゼロ叶恭弘
同時期に2本もラブコメ始めるこたぁ無いよなとは思うが、とにかくありがちな設定と展開に徹する『ToLOVEる―とらぶる―』に対して、こちらはややひねった設定と展開とを見せるという形で差別化が図られている。ただ、1話の段階ではそのひねりが面白さに結びついていない、と言わざるを得ない。
まず何といっても、話の肝である「主人公自身は全く魔法を使っていないのに、周囲にはスゴイと誤解される」という誤解の連続が、すんなり頭に入ってこないのが痛い。基本設定を説明しながら、その説明された設定に基づく誤解によってストーリーが展開する、という組み立てがどうにも煩雑だからだ。
大体、ボルト頭にされるあたりからして、驚きよりも「何でボルト???」という疑問が先に立ってしまう。絵ヅラもグロく、ナンセンス以前に生理的嫌悪を感じてしまうし。自分の体がしていることを見て「バ、バケモノ〜」と驚くのもわけがわからんぞ。
ともあれ、ひととおり状況の地盤固めができるまでは様子見。
 
謎の村雨くん
実は青葉にも秘密が!? とかいう前号の次号予告を読んだときには「実は某国のスパイか、はたまた父親の上司か、あるいはニンジャの末裔か!?」と少し期待したのだが……。「トラブルメーカー体質」という、およそ考えうるなかで最もつまらない設定だった。便利な設定ではあるが、理屈が全く欠如しているからちょっと使い過ぎるとすぐにご都合主義に陥る。本人にはその体質の自覚がないから積極的に話を転がすこともできない。どうするんだ、これ?
 
最終回ミスフル
アニメ化という起爆剤がなくとも、固定ファンを獲得できたなら内容がどうだろうが単行本の売り上げはベスト10を維持できる、という例として興味深い。
http://headlines.yahoo.co.jp/ranking/php/book/060316/f.html
なので、連載が続いたことにもそれなりの意義は見出せるのだが……。しかし単行本の好調を継続の理由にするならば去年の春にまで話を戻して「だったら『武装錬金』でなく代わりにコイツを切れよ!!」と思う。なにはともあれ連載終了を素直に祝っておく。
 
みえるひと
前回のヒキからどこまでパワーインフレを起こすのかと不安だったが、焔狐の裏切りという意外な展開によってそれを避け、同時にコモンの性格を描写したのが巧かった。姫乃の母親という大きな謎を引っ張ったまま、間をおかずに「敵か味方か!?」パターンでより上位の存在を登場させたのも、澪の台詞という伏線と併せてなかなかにきれいな話運び。しかし、今後どういう物語が展開するのかいささか心配ではある。つか、なんの活躍も無いまま、とうとう扉絵で無理矢理登場するしかなくなった澪が不憫でならない。
 
魔人探偵脳噛ネウロ
サイが登場したときから読者的にはツッコミどころだった「いや、こいつのどこが人間よ?」に対して、まさかこんな教育的な(笑)回答が用意されていようとは。ネウロの魔人っぷりが心身両面から際立ってきたし、活躍できなかった弥子に関しても、実はネウロはその力を認めているという台詞によってキャラに肉付けされた感がある。
ただ、今回の直接対決で ネウロ>>>>越えられない壁>>サイ が明らかになってしまったし、温泉以来引っ張ってきたネウロの弱体化の問題もひと段落ついたから、今後は何を主軸にして物語を展開するのか、これもちょっと気がかり。
 
ツギハギ漂流作家
それにしたってポルタ並。「あっあぶない! ポルタのあとに またポルタ」。何故にここまで何も考えずにマンガが描けるのだろう、と不思議でならない。食肉島というアイデアは悪くないが、そのアイデアに十分な説得力を与える設定や伏線がまるで無い。それどころか、前回だか前々回だかに新種の生物を出してしまっている(我愛羅モドキがこれ見よがしに殺していた奴ね)。「なんで浮上したばかりの新島に生き物がいるんだ?」と思ったが、そんなレベルですら無かったとは。「なんで島に食われなかったんだよ!?」などあまりにバカバカしくて突っ込むことさえ億劫だ。漂流録の内容を保証するために同行している編集者が、ノートのすりかえを黙認というのも、作品の基礎設定を作者自ら否定してるし……。本当に何も考えてないのな。こういうのって後から身につく種類の技術ではないから、ぶっちゃけ漫画家をやめたほうが当人のためだと思う。
 
太臓もて王サーガ
パロディはいいが、それをオチにしてはいけません。正直、何のネタだかわからなかったし(たぶんドラゴンボールだろうと見当はついたが)。テニプリのあの展開にこういうオチを付けたくなる気持ちはわかるが自重すべき。
新キャラのチャーマー・グリーンは、悠に惚れている間界人の魔女っ娘で召喚魔法も使える……と設定だけなら面白そうなのだが、どうにも上滑りしている印象が拭えない。性格の部分が弱いからだろうか、これから先「このキャラは基本的にどういう行動をとるのか、既存の登場人物の誰と組み合わせたら面白いか?」などがどうにもふくらまない。
どうでもいいが、召喚魔法に絡めてうさみみ仮面ネタは絶対にやるだろうな。やらないわけがない。グリーンが矢射子と結託し、騙されて召喚契約した木嶋がアスナロDの格好で登場、なんて展開を予想しておく(←文句を言いつつ結局ふくらましてる)。