ゾイドジェネシス#47「決別」感想

【機械兵】
今回「衝撃の真実」が明かされた機械兵だが、どうにも無理を感じてしまう。これまでに、視聴者に対して決定的に「あれは機械兵だ」「機械兵として扱われている」と印象付ける描写が欠けていたと思う。「あの頭部に人間の頭が入るとは思えないので機械だろう」と思わせつつも、功を焦ってミロード村を襲撃したなどと妙に人間臭く描かれたり、ゼルフトではパイロットの選別と訓練があったからやっぱり人間なのかと思わせて、ズーリ攻略戦では乗機ごと「死んだふり」を披露したからやっぱり生身の人間ではないのかと思わせて……。意図的に「どちらともとれる」描写にしていたとさえ思える。今回は冒頭で「機械兵が故障」云々という台詞があったが、取ってつけたかのような印象は否めない。
大体、機械兵の「生産」のほうはいいとしても、その「材料」、支配下においた人間がいつのまにかいなくなっていることに気づかないのは、いくらザイリンとはいえうかつ過ぎではないか。終盤に向けてザルツ村の住民(たぶんアイアンロックの住民も…)を大量動員したことでザイリンに発覚した……というのは伏線も活きていてなかなか小味が利いた展開だが、そのためシリーズ中盤までの機械兵の材料はどうだったのか気になって仕方ない。やはり適性のある人間をバラして材料にしていたのか? だとしたらどうも機械兵の数が多過ぎるし、錬兵が無意味のような……。
機械兵の設定はおそらく開始当初からあったものなのだろうが、ディガルドの非人道性を見せる切り札としていつ出すかタイミングをはかっていたら、ズルズルとクライマックスにまで来てしまった感じだ。
 
ザイリン
とはいうものの、その機械兵の真相を知ってからヴォルケーノで暴れるまでのくだりは見応え満点の燃えまくりで文句無し。「ディガルドザイリン・ド・ザルツ中将は死んだ」「我が名はザイリンゾイド乗りのザイリン! 真なる敵に立ち向かうザルツ村の男だ!!」。まさかザイリンがここまで熱い台詞を吐くとは。
 
【ゲオルグ
いや、「ゲオルグ実は生存」「メカゲオルグとなって再登場」とか、ファンレベルでは言われてきたが、そんなバカ話をホントにやってどうするか(笑)。ゾイドっぽさが絶妙なバランスで中途半端だし、顔までCGだし、目が光るし、さりげなく首が180度回転してるし。しかし、機械兵の真相と合わせることによって、その滑稽な姿が極めてグロテスクなものにも見え、ディガルド(つーかジーン)の非人道性を見せるのにいいアクセントとなっていた。
 
フェルミ
この裏切りはちょっと予想外だった。「私はただ面白いことをしたかっただけ」と享楽主義者を装っているが(あるいは自分自身気づいていないのかもしれないが)、何より強い動機はソラシティに対する敵愾心、そして目的はソラシティを滅ぼすことだったため、それを果たした今はもうやる気が出ない、ということなのだろう。ロンたちソラの住民やソウタと再会してどんな会話があるのかがちょっと楽しみ。
  
【神・ジーン】
これまでは曲がりなりにも戦争という構図だったのが、一人の絶対悪を倒すという構図になってしまって、戦記ものを期待していたファンはガッカリしたのではないか。とはいうものの、目的の明確化はまずエンタテイメントの基本だし、これまでにルージの側は「仲間たちがいたからやってこれた」という場面が再三描かれてきたから、その最大最後の敵が「人を人とも思わない独裁者」という対照は明瞭でぶれが無いといえるだろう。
 
ゾイド
ゾイド戦最大の見せ場は予告にもあったヴォルケーノvsティラノ! 燃える街のなかで対峙する2体の恐竜型ゾイドという構図は、怪獣映画的で実に絵になる。ヴォルケーノはロケットブースターを駆使しビルの壁を蹴っての高機動、対ルージ戦ではあれほど使用を拒んだバイオ粒子砲の使用とまさに全力勝負、一方のティラノは尻尾まで使ったワイルドな反撃に、そして何が起きたかよくわからないがとにかく凄い最後の一撃と、強大さを印象付ける戦い方だった。雪がまた面白い演出になっていたので「上昇気流があるからあんなふうには降らないだろう」とか「つーか熱気に当てられて融けるんじゃないか?」 というツッコミは心の中にとどめておく(書いてる書いてる)。