カインの死を悼む

週刊少年ジャンプ』連載作品、先日打ち切られた「カイン」。ネタとしての面白さしかなかったので忘れそうになっていましたがこのマンガ、先行して掲載された読切版のほうはそれなりに新味があったんですよね…。そこで改めて、現在の不人気連載の出自をたどってみると、どれもこれも連載化にあたっての改悪ばかりが目立っている。
 
「カイン」 【読切】軍師が主人公、力押しではなく知略による戦いという目新しさ。
→【連載】いわゆるサイボーグに設定を変更、典型的なジャンプ系バトル物に。
  
切法師 【過去の中島作品】スケールの広がりを感じさせる異世界を構築、物語はヒューマニティ重視。
→【連載】半端な時代劇の設定のもと、典型的なジャンプ系バトル物に。
 
「タカヤ」 【読切】「あててんのよ」発言に代表されるヒロインのキャラが大ウケ。
→【連載】ヒロインそっちのけの、典型的なジャンプ系バトル物に。
 
みえるひと 【読切】叙述トリックという挑戦、すぐそばに霊がいるのに見えない恐怖。
→【連載】単純明快な構成、「依頼-解決」パターンのジャンプ系バトル物に。
 
これって普通に推測したら、作者ではなく編集部の罪だよな。読切時に作家を世に出した担当者と、連載立ち上げに向けてコーディネートした担当者とが別人なのだろうか。それとも、読み切りは比較的好き勝手描けるけれど、連載については上からのキビシイ締め付けがあるとか? 揃って「ジャンプ系バトル物」志向であることから考えると、やはり誌面のカラーをそろえたいという意図があると思える。せっかくのバラエティ豊かな手駒を、何も同じ色にそろえるこたあないだろうに。大体、「何を見ても同じようなバトル物」なんて雑誌、かえって退屈なものになると思うのだが(つーか現に退屈……)。なんであれ最低限、「読み切り時には何が受けたのか?」を正しく評価できないことには、ジャンブはお先真っ暗ではないだろうか。