見境無くing付けてんじゃねえ。 いやそれ以前に、わかりますか「ヘリテージング」ってどういう意味か? 産業遺産見学あるいは近代化遺産見学のことですと。heritageという耳馴染みの無い言葉に、さらに無理矢理ingを付けて(heritageは名詞なので付くはずがない)新語でござい、というセンスはあまりにも酷い。
「ユビキタス」のような全く新しい概念ならば、新しい語も必要だろう。既存の言葉での言い換えがきかないからだ(「時空自在」は漢語調を気取っているだけで、不明確さは「ユビキタス」と大差ない)。では「ヘリテージング」は? 「産業遺産見学」か「近代化遺産見学」と言い換えられる。「産業遺産」や「近代化遺産」がまだ定着していないとか、「見学」ではお堅い感じだというなら「近代建築見物」でもいいだろう。広義では建築に限定されないが、実際に見学可能なもののほとんどが建築なのだから問題あるまい。いずれにしても「ヘリテージング」よりはよほどわかりやすい。
巷では「正しい日本語」本がブームになっているようだが、その一方でこういうセンスのかけらもない、意味不明の、横文字の、間違っている言葉を造る者も未だにいるのだな、と言葉の世界の奥深さにため息が出る思いだ。
- 作者: 阿曽村孝雄
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2005/06/21
- メディア: 新書
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heritage industry 〔軽蔑〕 文化遺産産業 (史跡などを商業的に開発・活用すること)