ビギンズ、リターンズ

先週の土曜に『バットマンビギンズ』を観た。私はティム・バートン版、特に2作目『バットマンリターンズ』が大好きということもあって、見る前はさほど期待していなかったのだが、どうしてどうして、意外にカッチリとした脚本、俳優たちの好演、バットモービルでのカーチェイスをはじめとするアクションシーンと、実に見応えのある映画だった。

バートン版と同様、心に闇を抱えるバットマンを描き出すのだが、その方向性の違いも興味深い。バートン版では、バットマンの心の闇は一生治らないか、あるいは逆に冷水摩擦や器械体操や規則的な生活で治されるような種類のものだった。対してノーラン版が描くのは、真正面からそれと向き合い、戦い、文字どおり克己するバットマンの姿だ。「ブルース・ウェインは何故コウモリの格好をするのか?」に対する答も差が鮮明で、前者は「生まれながらの怪物ではないのでマスクが必要だから」だが、後者は戦いの場に必要な「トリックと演出」に過ぎないという!(最後にヒロインが……とも言っているが)

これほどの違いがありながら、どちらも同じくらいに見応えがあるのは「バットマン」という素材の優秀さだろうか? それとも単に、それぞれのスタッフがそれぞれ優れていたということなのだろうか?

ああ、それと作品は罪は無いのだが、「ビギンズ」を誉める人間の少なからずが「過去の4作」というくくりでバートン版とシューマッカー版をいっしょくたにしてるのがスゲぇ気分悪い。それもシューマッカー版の印象のほうに引っ張られていやがんの。

まぁそれはともかく、半ば勢いで買ってしまったのがバンダイのプラモデル・1/35 バットモービル(バットマンビギンズ版)。まだ組み立てていませんが、パーツの状態や組み立て図をひととおり見た感じではかなりのクオリティです。
ただし成形色が何故かグレーなので、先代社長のお坊ちゃんならずとも「黒く塗れるか?」と問いたくなるところ。そこはやはり坊ちゃんのように、ピーコンで黒を吹いてやりましょう(私は缶スプレーですけどね……)。