ジェネシス#2

ムラサメライガーにつづき、ヘビーライモス、カノンフォートも組み立て。いきなり脱線するが「ゾイドジェネシス」シリーズは、従来のゾイドシリーズからは考えられないほど商品ラインナップが洗練されている。やや高めの価格帯の電動ゾイドは華やかな色みの主役級、価格帯を同じくするも全く新しいコンセプトとデザインのバイオゾイドは敵役、そして旧製品の再版であるゼンマイゾイドはマニア向けと割り切って、成形色を渋いミリタリー調に揃えている。
こう書き出すと「購買層を考慮したラインナップの整理なんて当たり前じゃねぇの?」と言いたくなる向きもあろうが、「共和国軍vs帝国軍」という伝統のコンセプトを徹底することも、完全に切り捨てることもできなかった従来のシリーズは、その当たり前さえ出来ていなかったのだ。初心者(子供)向けの、600円台の低価格帯を残さなかったことはやや疑問だが、薄利多売の商品は何かと難しいのかもしれない……といったところで本題のヘビーライモス、カノンフォートに戻る。
ゾイド zoids GZ-005 ヘビーライモスGZ-002カノンフォート
内容物をチェックしての第一印象は「セコイなぁ」だった。従来は各商品で専用のものが付いたシールは共用化(他のゼンマイゾイドは見ていないが全て同じだろう)、シートが2つあるのにパイロット人形は1体(前作「フューザーズ」のコマンドストライカーなんて劇中では2人乗りなのに3体パイロットが付いてきたのに)、取扱説明書(組み立て説明書)は従来2色刷だったのが1色刷りになるなど、涙ぐましいコストダウンがはかられている。まぁこのあたりはおそらく、1000円という小売価格を上げないための苦肉の策だろうから、あえて批判はしない。実際、シールは貼らないし、パイロットは手元に山と余っているしね。ただ、このあたりの思い切りの良さもまた、従来は考えられなかったことで、商品企画を統括する立場によほどのやり手……開発畑、設計畑でない人間がついたとみえる(ただの憶測なので保証はしません)。
ヘビーライモス、パーツに離型剤(?)かなにかの汚れがついていたのが印象を悪くしたが、キット自体の素性は良し。首を倒してドリル角を正面向きにすると猛スピードで回るのは気持ちいいし、背中のこぶの中にサブコクピットがあってしかも偵察用ビークルとして分離可能という「非ゼンマイ」ギミックもよくデザインされている。いきなり2個買いして正解だったよ。カノンフォート、四足歩行に連動して砲塔が回転し、さらには砲身が上下する凝ったギミックが楽しい。まぁ実戦で砲塔・砲身をそんなふうに動かすシチュなんてねーだろと思うが(笑)。きっちり牛っぽい全体形、動力伝達のための棒をあえて見せる胴体側面、そして背中のこぶを砲塔に見立てたことと、デザイン面でも1988年当時の円熟を感じさせる。つーかそれから15年を経て、どうしてディ○○○ウのデザインにまで後退するのかと小一時間……。