2D3Dのコンパート

買っちゃったよ。

コトブキヤ「1/8 トゥハート 保科智子 私服版」完成品フィギュア。キャラクターに思い入れがあるでなく、現物を見てもさして惹かれなかったのだが、「なんか売り切れ店続出だから押さえておこう」(=他人が買うからオレも買う)という、侮蔑されて然るべき動機での購入だ。ところで、同シリーズの神岸あかりはずいぶんと売れ残っているのだが、これはキャラクター人気の差だろうか? そういえばマックスファクトリーの「ステルヴィア」の場合も、藤沢やよいは入荷する端から売れる一方、しーぽん片瀬志麻)は店頭に山と積まれたままだ。これらは「主役ヒロインが必ずしも人気を得るわけではない」ということなのか。それとも……ぶっちゃけ胸部まわりの立体映えの差なのか?

さて、「いわゆる『アニメ顔』を立体としてどう解釈するか?」は、はるか昔から……それこそ、あさのまさひこが森沢優を作っていた時代からフィギュアモデラーの課題だった(実際にはもっと前からだが「昔」の例としてわかりやすいでしょ)。解釈がある程度確立されると、ドールに応用されたり(セガの「レイアース」シリーズがその嚆矢)、どこぞのアート様(というのはつまり村上隆だ)に掠め取られたり、果ては2次元に還元されたりもした(ただしこれは水玉蛍之丞が、葉鍵系のどれだかのキャラデザインを取り上げて、頬〜顎のラインと影の付け方について指摘していたのを読んだだけなので、その解釈が正しいのか、また一般的といえるのかは不明)。

ここでようやく話が胸部まわりにもどる。どこぞのアート様(というのはつまり村上隆だ)も、門外漢にもわかるような稚気あふれる過剰なディフォルメで作品に盛り込んだことがあったが、キャラクターフィギュアには、乳房に関してもまた独特の立体表現がある。これについてはどのような発達を遂げたかまるで把握していないが(乳房の発達を真顔で説くのもどうかと思う)、やはり「二次元の都合で描かれた『アニメ胸』を立体としてどう解釈するか?」の模索の歴史とは不可分だろう。

お嬢の胸元。私なんぞは、服を着ているのにバスト下面のラインが付け根に向けて上向きのカーブを描いているなんて、妙てけれんに思うが、キャラクターフィギュアの表現としては特に異様なわけではない。二次元のデザインにはそうした誇張が必要とされ、フィギュアはそれに忠実な、かつ立体として不自然すぎない表現を目指した結果なのだと思う。五月蜂。