純水で茶を淹れる

もう1年くらい前か。キリンの「午後の紅茶」がマイナーチェンジによって『「純水」午後ティー』を名乗り出した。大方、色々と足りないコピーライターの口車に乗せられて造語だといいくるめられたのだろうが、純水は昔からある言葉だ。それは「不純物を取り除いた」(午後の紅茶のラベルによる)水、などではない。溶解している物質まで取り除いた純粋なH2Oのことだ。飲むとお腹を壊すとも骨が溶け出すとも、いやそれらは俗信だともいわれるが、まぁ飲用には向かないのは確かである。

飲用水でも使われる用語でいえば、純水はミネラル分が皆無に等しい「究極の軟水」とでも言うべきものだ。さて、紅茶といえばイギリスである。そしてそのイギリスの飲用水といえば、ミネラル分豊富な硬水だ。紅茶も当然、硬水で淹れる。硬水でないと綺麗な紅色の紅茶は出ないという。純水はおよそ紅茶には向かない水なのである。

まぁ本当に純水を使っているわけはなく、足りないコピーライターの(以下同文)だとは思うが、一言でいってダサい

ところが何と、他社まで「純水」を言い出してしまったのだ。しかも緑茶では老舗の伊藤園が。なんていうかな、誰か止めろよ。

手前のペットボトルは伊藤園の「お〜いお茶」500Ml、背景は高溶存酸素の水「サン・アルデオール」 Q&A。純水使ってる時点で「自然のままのおいしさ」じゃねぇよ、と突っ込みたくなる。