湘南モノレールno日々

04年も掃いて捨てるほど製作されたアニメ作品。実は私、ほとんど観ていないのですが、数少ない観た作品のなかでは「美鳥の日々」が大きな収穫でした。あ、念のため「びちょう」ではなく「みどり」なので誤解なきよう。「可愛い女の子と突然同居」という、手垢のついた、男に都合のよい設定を基本としながら、奇抜なひとひねりを加えて比類なきコメディを作ったのはまず原作の手柄でしょう。アニメ版はそんな原作に対して充分な敬意を払いつつ、状況の原因と解決とを掘り下げたことで、「ヒロインの成長物語」としても見事に仕上がっています。続編を考えず全13話でビシッと完結させた点も潔いし、アニメ独自の登場人物や設定が、作品世界を構築する役割をきちんと果たしていた点も「職人の仕事」を感じさせてくれました。
何故に突然「美鳥の日々」の話かというと、昨日出た『鉄道データファイル』誌が湘南モノレールを取り上げていたから。アニメ版の追加設定のうち最大のものが「湘南モノレール」の存在なのです。なんでも監督が「作品の雰囲気に合っているから登場させた」とかなんとか言ったとか。地元の人には日常の一部となっている懸垂式モノレールですが、見慣れていない一般視聴者の眼には非日常的に映るようで、作品世界の日常性・非日常性のバランスを象徴する存在となりました。劇中には、頭上を行く列車としてはもちろん、遠景のワンポイントとしても度々登場。駅や車内もまたドラマの舞台になるなど、極めて効果的に使われています。毎回のタイトルバックにも描かれており、窓という固定されたフレームの「手前」にいる美鳥に対し、窓の外の変わりゆくものの代表という役目を果たしています。
江の島方面といえば江ノ電がおなじみで、アニメにもしばしば登場しますが、どんな作品にも同じ踏切、同じ駅が登場するので正直「またか」と思ってしまいます。関係者には「美鳥の日々」の湘南モノレールの扱いを観て、猛省してほしいものです。

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CDはエンディングテーマ「もう少し…もう少し…」。駅で列車を待つ間の「何も起こらない」映像が、歌と見事にシンクロしていた。空を仰ぐと夕闇を列車がよぎり鳥たちが舞うカットなどは、思い出すだけでも目が潤む。雑誌は『鉄道データファイル』44号。こういう記事で見る限りはただの単なるモノレールであることに、改めて「美鳥…」のすごさを思う。
さて、「美鳥の日々」には一切ふれていない『鉄道データファイル』誌。もちろんそれが当然で、鉄道専門誌があえてアニメを取り上げる必要はありません。ですが、それでもある路線の記事については、あるアニメ作品にふれていました。それは……と、言い出せなくて続く。
もう少し…もう少し…
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