「ガールズ&パンツァー 劇場版」

27日に観てほったらかしにしていた「ガールズ&パンツァー劇場版」の感想を今年最後のエントリにしときます。
 
ガルパンはいいぞ
 
…ってのがはやりのフレーズですが、あいにく全くといっていいほど思い入れのない私には一言で言うと「終始ドンパチで飽きないけど疲れる」でした。面白いかと訊かれりゃマァ面白いんだけど、ずーっとドンパチだからその面白みの言語化が難しいのね。だから、まず誉めたい人も語りようがなくて「ガルパンはいいぞ」になるんではないでしょうか。

そもそも私、テレビシリーズは最初の2話か3話で脱落、この前テレビ放映でアンツィオ戦は観た、というだけで登場人物に思い入れが無い。なので、1クールかけて少しずつ増えてきたのであろう無闇やたらと多い登場人物を短い映画に押し込んで、それぞれの見せ場を作って捌ききっていたあたりは技術的に見事だなーとは思うけど、「あの子がこんな立派になって…」「あの子がこんな活躍を!?」「あの子とこの子がこう仲良くなったか!」てな感じの感慨が無いのね。んで、味方キャラたちが重点的に描写されることで割を食ったのが敵方で、メインの子ひとりともう一人くらいしかいないも同然の状態。中ボス的な扱いだったアレとアレの乗員くらいは描写すべきだったのでは、と思ってしまう。

あとまあ、言うて詮無きことというか、ロボットアニメに巨大人型兵器の合理性を求めるのと同様のナンセンスだと承知の上で書くけど、私は未だに「戦車道」の設定が根本的に飲み込めない。なんでこれが全世界的に女性のたしなみになったの? なんで1945年までに製造された戦車(だっけ?)というレギュレーションなの? そのくせ○ー○ーの追加装備は可とかザル過ぎない? とか色々(これがテレビシリーズを見てない理由)。

「そういうものなんだから仕方ない、そういうものとして飲み込もう、高校生という特別な年頃にはそういう不合理も許されるのさ」となんとか飲み込んだのに、今回の劇場版には「大学選抜」だの「社会人チーム」だのが出てきたもんだから、「いや待て戦車道ってそれほどのものなの? この世界ってどうなってるの???」と胃の腑に落ちる前に戻しちゃった。

いやホント、詮無きこととわかってるんだけどね…。日本の高校生という設定で世界のいろんな国っぽいキャラを出してしまった以上、海外チームを新たな対戦相手を出すのは難しいって事情もわかるけどね……。
(以下ネタバレ)





ドラマの基本は「課題の提示と決着」だというのはまず論を待たないだろう。それをいうとこの作品、「主人公・西住みほと母親との確執」という課題を提示しておきながら、その決着を描いていないのね。だから物語が着地していない。

これ、あえて問題を未解決のままにして次の新作に持ち越すつもりかなとも思ったんですが、一方で流派対流派の問題は当人たちの預かり知らぬところで火花を散らし、当人たちの預かり知らぬところで何となく和解しちゃったから、この後でまた西住の家の問題を前に出しても空回りしてしまいそう。

「課題の提示と決着」は、チハタンに関してだけきっちりと描かれていたという印象。カチューシャがチームメイトに守られて泣く泣く退くあたりも盛り上がるけど、そこに至るまでの本来のカチューシャがどういうキャラなのかよくわからんし、風紀委員たちがやさぐれて復活して〜も中盤だけで始まって終わってあっさりしてたし……。ここらへんはテレビシリーズを観ていた人には山場になったんですかね?