新編まどかの薄い本

といっても同人誌ではなく。

ハノカゲによるコミカライズ版『魔法少女まどか☆マギカ 新編 叛逆の物語』です。

これがとにかく薄い! 高い!

書店で手にとって(このページ数で690円!? うーん、ビニールがかかっていて確認できないけどカラー口絵が多めとか特に質の良い紙を使っているとか、値段なりのものがあるのかな?)と購入してみたが、ただ薄くて高いだけでした。
カラーは1枚(2ページ)、片面は目次で絵はトビラの1点のみ。紙もごくふつう、特段良いものを使っているわけでない。ていうかむしろ悪い。他社の単行本と並べて見比べないと気付かない程度だけど。

需要が見込めない、だから単価=利益率を高めに設定せざるを得ない……というマイナー作品ではなく、「熱心なファンが多いからこの値段でも売れるだろう」という価格設定で、ふつうはそういうのをボッタクリといいます。三分冊だから690×3=2070円で、映画館の当日券より高いというのははっきりいって異常でしょう。
既存のファン以外にも売り込めるタイトルなんだから、逆に価格設定を下げて手を出しやすくするほうが商売として正しく、またウマみがあるんでないの?

とまぁ商売に対しては大きな不満があるものの、内容にはまず満足です。絵柄は蒼樹うめに似せておりキャラクターに違和感は無く、しかしちゃんと独自の絵になっています。基本は繊細で柔らかみのあるタッチ、それが要所要所でイヌカレー空間のエッセンスを感じさせる少々前衛的な絵柄になるのですが、モノクロであのムードが表現できるのは大したもの。♪まぁるいケーキの場面などは丸々そっちのフシギな絵柄で描かれています。

普段少年マンガに慣れている身には、アクションシーンのコマ割が細か過ぎ(あまり大ゴマを使わない)で少々まどろっこしい印象がありますが、それは「技量」というより「作風」として受け止めるべきでしょう。

ストーリーはキューベルワーゲンで買い出しに出かけてバスで風見野に向かって、その結果、今の見滝原がどういう状況かを知るまで。映画未見の人(がこれを買うとは思いませんが)には十分にヒキになるものと思います。

冒頭でくどいほど強調した値段の件を了承できるなら、まず買って損のない作品でしょう。