時代遅れの未来

たまたま目に付いた「ネクストワールド:未来の乗り物」(ディスカバリーチャンネル)という番組を見た。珍車&ゲテモノメカ大集合と割り切れば面白い番組だったが、未来観がどうもビミョーに古い。特に決定的だったのがホンダの燃料電池車、FCXクラリティをフィーチャーしていたこと。市販されて話題になったのは、今は昔の2008年だ。公式サイトは今も残っているが……。

http://www.honda.co.jp/FCX/
ニュース&トピックス
10.05.27デジモノステーション 2010年7月号に燃料電池電気自動車教室の模様が紹介されました。

2010年を最後に話題は途切れている。
また、ギブス・アクアダ(↓こんな車)という水陸両用車がなかなかカッコいいので、ウィキペなどを参照してみたのだが……。

そこに外部リンクとして紹介されている「『アクアダ』ホームページ」はPage Not Found。
http://www.gibbssports.com/aquada.php
/aquada.phpを落としてギブス社のトップページに行ってみると、
http://www.gibbssports.com/
アクアダとはサイズも形も全く異なる水陸両用車が主役(Quadskiもカッコいいけどね)。他にHumdinga、Phibianの2車種があるが、アクアダは影も形も無い。
今ではポスト化石燃料候補から脱落したも同然の燃料電池車だの、既に生産されていない水陸両用車だのが未来の乗り物であるはずがない。いったいいつ作られた番組なんだ? とディスカバリーチャンネルのサイトに行ってみたが……。
http://japan.discovery.com/
なんとまぁそれがどこにも書かれていないのだ。最古のレビューが2009年7月だから日本初放映がその頃で、制作はそれより半年か1年前と推察できるのだが、制作年とか制作国・制作局といった基礎情報は明らかにしてほしいものである。
それにしても何というか、ほんの4年前に描いた未来図が古くさく感じられてしまうあたり、未来予想の難しさを感じてしまう。これの場合、「現実が予想を追い越した」のではなく「現実は予想したようにならなかった」ではあるが。



とか書いた後でニュースをチェックしたら

ヒュンダイ、“究極のエコカー”で先手
東洋経済オンライン 2月28日(木)19時20分配信
http://toyokeizai.net/articles/-/13093
 
韓国の大手自動車メーカー、ヒュンダイは2月26日、蔚山(ウルサン)工場で、世界初となる燃料電池自動車(FCV)のライン生産を開始した。
(略)
まずは、デンマークスウェーデンなど北欧の自治体向けに販売する予定だ。北欧各国は、環境対策として電気自動車やFCVの導入を積極的に進めており、ヒュンダイとはFCVの開発でも提携している関係がある。グローバルでの公共機関向けなどを中心に、2015年までに合計1000台の販売を目指す。

今回、蔚山工場に導入したラインは、商業生産をにらんだパイロットラインとの位置づけで、年間1000台の生産能力を持つ。ライン生産を通じて量産技術の開発を進め、コストダウンを図っていく計画だ。今後、15年には年間1万台の能力をメドに商業生産を開始、20年以降は年間10万台以上の生産を目指していく。
(略)
■ トヨタも15年から、日産連合は17年にも量産へ
日本メーカーでは、トヨタ自動車が15年から量産車の販売を開始、20年には次世代自動車で開発提携する独BMWとの共同開発車を投入する計画を明らかにしている。日産自動車も独ダイムラー、米フォードと提携して共同開発に取り組み、早ければ17年にも量産車の販売を行う予定だ。ホンダも独自に開発を進めており、15年に量産車の販売を目指しているところだ。

各メーカーとも、自動車としての基本的な技術開発には目処が付いたとしており、最後の課題であるコストダウンが狙い通り進めば、いよいよFCV時代の到来が見えてくる。

丸山 尚文

へぇ〜量産するんだ燃料電池車、とちょっと驚いた。
ただ、この記事は「最後の課題であるコストダウンが狙い通り進めば」と言っているが、最後の課題はそれじゃなくて水素供給インフラの整備だろうと。供給ステーションの絶対的な数が足りないのはもちろん、水素を輸送・保管する際の安全性の問題はまだ未解決ではなかったか。



(コメントを受けて追加)

タイトルが「Gibbs Aquada」なのはいいとして、「概要: James Bond」ってなんだそりゃ。キャラに見覚えはあるけど何て作品だったっけ……。