チャンピオン読者の私が選ぶ!このマンガが面白い!2013選評

(↓続き)
はい、それでは選評です。
 
●チャンピオン以外部門
第1位「ごきチャ」

ごきチャ (1) (まんがタイムKRコミックス)

ごきチャ (1) (まんがタイムKRコミックス)

ゴキブリを擬人化美少女化した4コママンガ、というとインパクト勝負の際物だと思われるだろうがさにあらず。「この健気な黒髪美少女を、ただ『ゴキブリである』という一点だけで忌み嫌い、石以て打つのか?」と、読者の差別意識を問う、重大な問題提議をはらんだ社会派なのである。たぶん。あるいは青鬼不在の『泣いた赤鬼』とも。
……ふつうに萌え系4コマとしても十分に良い作品なんですけどね。虫ほどの大きさの(っていうか虫なんだが)女の子が人間と仲良くなろうとバタバタ走り回る姿は愛らしいです。……うーむ、「武装神姫」といい私はこういうサイズ感が好きだったのか? リリパットフィリア? あるいはかたなし君的にミニコン
 
第2位「ひまスペ兎!」
ひまスペ兎! (ジャンプコミックス)

ひまスペ兎! (ジャンプコミックス)

正式なタイトルは顔文字含めて「ひまスペ兎!(≧ω≦)」、読みは「ひますぺうー」。宇宙の旅に出ている女の子4人がキャッキャウフフとじゃれあって、毒にも薬にもならない暇つぶしを繰り広げていく、しかしハードSFです。かっちりとした科学考証に基づいて、宇宙船内での暇つぶしを描写していく。「うん、ハードSFっていいよね」としみじみ思います。ただ、前半は現実的なシミュレーション、「こうなる」という水準のSFだったのが、中盤以降はワームホールとか異星生命体とか「あり得る」という水準になってしまったのにはちょっと戸惑う。
 
第3位「デジモンクロスウォーズ」
デジモンクロスウォーズ 4 (ジャンプコミックス)

デジモンクロスウォーズ 4 (ジャンプコミックス)

デジモンクロスウォーズ 1 (ジャンプコミックス)
デジモンクロスウォーズ 2 (ジャンプコミックス)
デジモンクロスウォーズ 3 (ジャンプコミックス)
また中島諭宇樹かよと言われそうだが、2作品とも今年しか選べないのでご容赦。
アニメを原作とするコミカライズの、これが頂点だと言ってしまおう(「ガンダムTHE ORIGIN」はまた別格として)。 あるいは、不出来なアニメからワープ進化した究極体「デジモン」とでも言おうか。アニメとはまったく別のストーリーが展開するのだが、アニメを疎かにして漫画家が暴走しているのでは決してない。原作以上に『デジモン』シリーズらしく、さばかりか原作以上に『デジモンクロスウォーズ』らしい、という奇跡の作品。幼年期もとい企画段階の『クロスウォーズ』から正常進化したのが漫画版で、暗黒進化したウイルス体がアニメだ、といえばわかりやすいだろうか? わかりにくいですね。

ただし、やはり過去のアニメ『デジモン』か『XW』を見ていないと十分に楽しめないはずで(かく言う私も、過去の漫画版やカードゲーム版に由来する設定はサッパリだった)、そこが3位とした理由。まぁ下の一文を読んで脳内再生される人になら、とりあえず読んでみてよと勧められる。
♪ゴキゲンな蝶になって きらめく風に乗って
  
選外(第4位)「コミック星新一☆親しげな悪魔」

コミック星新一☆親しげな悪魔

コミック星新一☆親しげな悪魔

星新一原作のアンソロジー3冊目。既刊の「午後の恐竜」や「空への門」には正直、2本3本はハズレがあったんですが、この「親しげな悪魔」はハズレ無し! 知っている名前は石黒正数道満晴明だけで、読む前は少々不安だったのですが、「星新一ショートショートが原作」という緩やかな制約の下で、漫画家それぞれの個性がいい感じにぶつかり合ってます。
  
選外(第5位)「キルミーベイベー
キルミーベイベー (4) (まんがタイムKRコミックス)

キルミーベイベー (4) (まんがタイムKRコミックス)

たまたま見たアニメ版が面白かった→原作単行本を購入→巻頭カラーだの付録だのに釣られて掲載誌(まんがタイムきららキャラット)を購入→そのまま毎月購入……という私は、送り手にとって理想的なカスタマーだろう。さらに、毎月読むようになって馴染みをおぼえた「Aチャンネル」「インプロ!」の既刊単行本も買いそろえたのだからイイ鴨もとい上客である(「はるみねーしょん」だけは前から買っていた)。関係者にはこれ全て「キルミー」のアニメ化あってのこととご理解いただき、その上でぜひともアニメ第二期の制作をご検討いただきたい。今やればきっと『中二病』のファンが釣れるし。

もっとも、読者を選ぶというかうっかり他人に勧めると「どこが面白いんだかわからない」と言われそうな作品なので選外に。
 
●別冊チャンピオン部門
未読のため不参加。モノの良し悪しや値段以前に「ムダな感じ」しかしない付録が付くうちはちょっと買えない。未だに付いてくるということはコア読者層には好評なんだろうけど。
 
●チャンピオン部門
第1位「名探偵マーニー

名探偵マーニー 1 (少年チャンピオン・コミックス)

名探偵マーニー 1 (少年チャンピオン・コミックス)

ミステリーを1話完結の週刊連載で提供するという離れ業。ときには1号2話掲載までやってのけるのだから、およそ人間業でない。よくまあアイデアが尽きないものだ。

ねじくれているけどどこか共感できる「犯人」を毎度作り出しているのが見事。ページ数の制約がきついのかストーリー展開が強引になる傾向があるため、各回の感想を書き出すと少々厳しくなるが、この「変人列伝」というべき面白さは何物にも代え難い。
 
第2位「スポ×ちゃん!」

スポ×ちゃん 2 (少年チャンピオン・コミックス)

スポ×ちゃん 2 (少年チャンピオン・コミックス)

スポーツチャンバラってこんなにマンガ向きなのに、どうしてこれまでマンガの題材にならなかったのか?」と思ってしまう。だがそれは、この作品がスポチャンのマンガ映えする要素を十分に生かしているから、だろう。

コスチュームがレオタードだとか、極端な身長差のある対戦とか、リーチをこっそり伸ばすフェイント技とかでもまずは十分に目を引くが、それに止まらない。新体操vsフェンシングなんて異種過ぎる試合までやってのける。スポチャンのルール上ではそれもあり得る(実際にはそうはないと思うが)のだから面白い。

ガチの部活マンガ、格闘技マンガでなく「けいおん!」的なユルい日常系にしたのも、スポチャンの性格をよく生かしている。
  
第3位「いきいきごんぼ

いきいきごんぼ 1 (少年チャンピオン・コミックス)

いきいきごんぼ 1 (少年チャンピオン・コミックス)

下ネタが基本のギャグマンガだが、幅広く読者の共感を呼ぶ「あるある要素」、話題のマンガから三峰徹まで幅が広くてディープな「パロディ要素」、媚びた造形でないのに女の子が可愛い「萌え要素」と様々な要素を備える。こういうマンガは強い。
 
第4位「囚人リク」
囚人リク 8 (少年チャンピオン・コミックス)

囚人リク 8 (少年チャンピオン・コミックス)

囚人リク 9 (少年チャンピオン・コミックス)

囚人リク 9 (少年チャンピオン・コミックス)

2012年はリクとレノマのコンビが成立し、脱獄計画が本格的に進展して俄然面白くなった。ロボットでもアンドロイドでもない田中一郎、豚さん大好きなお頭・高木、意外なところで捨て身の活躍を見せた森田など新登場の協力者たちの造形も良い。
 
第5位「ストライクライクラブ」
2012年の「ここで名前を出しておかないと忘れてしまいそうな作品」枠は、期待の俊英・鈍速毎日の現時点での最新作。鈍速毎日の作品は、シュールなアイデアと描写でコーティングされていて、まずコメディとして目を引くが、芯はストレートなラブストーリーなので安心して見ていられる。初期作品はストレート(異性愛)ではなかったが。
この「ストライクライクラブ」は「勘違いしないでよねッ」というツンデレのテンプレを最初にドンと打ち出して、「勘違いしない」という返し技で男女のすれ違いを作り上げたのが巧かった。テンプレにこういう応用があるんだなぁと感心する。
 
●チャンピオンキャラクター部門
イマイチ趣旨がわからない新部門。「チャンピオン以外部門」以上に票が割れて、集計結果から何の傾向も読みとれない、という結果になりそうだ。とはいえ集計で苦労するのはササナミさんであって名前書くだけのこっちは手間で無いし(ひどいことを言うね)、参加しない理由もない。
 
第1位「ヌイ」(神と犬と山下の週チャンゲーム板)
票が割れて〜とか言っていきなりこれかと自分でも思う。
2012年のゲーム板を支えた愛すべき変態、いや変態なのは間違いないが愛すべきでない。つまりただの変態。ただならぬ変態。犬畜生。
第1回暴投の、もとい冒頭の台詞が「三次元がオレを惑わせるぅううう! 二次元大好きを自負する俺が三次元に浮気しちゃうよぉおおお!」3DSラブプラスをプレイしながら)で色々と心配になったが、その後も「チャンピオンッ子はゾンビ大好き」「ミクさんはオレたちのすぐ傍にずっといたのだ。AR機能とはVitaを介することでミクさんを可視化する機能に過ぎない!」などの名言を残した。
  
第2位「ノムさん毎度!浦安鉄筋家族
自分の感想を読み返して、個別のキャラに関して最も濃密な記述があったのがこの娘だった。……ノムさんはエロいよね。色気より食い気だけど、「本能的な欲求が底無しで、人目をはばからず欲求に流されてしまう黒髪女子」とか言うと立派にエロキャラだ。カラダは反応しているくせに、口先では「食器を粗末に扱うことがイヤなんです」と取り繕うあたりもエロい。
 
第3位「イージス竹下」(「クローバー」)
二面性、二重生活はヒーローの定番要素。お笑いキャラっぽいキワモノの造形なのに、主人公たちをきちんと導く「先輩」として描かれていたのが印象深い。