/「世界の奇談」斎藤守弘

正月休みで積読の山を少しばかり崩したが、宇都宮東武の古書の市でまた色々購入してしまって山の標高は変わらず。

世界の奇談 (1968年)

世界の奇談 (1968年)

そのうちの一冊、「世界の奇談」をさっさと読み終わらせる。大陸書房の本は基本的に全て絶版ですがあまり人気がないのか売価300円。同社の他の本も同じくらいでした。

amazonは表紙写真が間違っているのでちょっと撮ってみた。「ネス湖の怪物の正体」とか「それでも雪男は実在する」とか「火のない焼死事件」とか「宇宙人は日本にも来た!」とか「幻のアトランチス大陸」とか「この指が物を見る」とか「死後の世界は実在する?」とかいった見出しが並ぶ、まぁ広く浅くでたくさんのオカルト事物を紹介する読み物です。当然ながら検証・考察も浅いのですが、そのためササッと読み進めることができました。
初版は昭和43年(1968年)9月で、70年代のオカルトブーム以前なのがミソ。たとえばヒマラヤの雪男を紹介する記事の結びはこうなっています。

 また日本にもむかしは雪男がいたと、『北越雪譜』(江戸時代)にある挿絵を証拠にもちだす人もあり、雪男の話題はまだまだ当分つきそうにもない。

この本が出た頃にはまだヒバゴンは出現してなかったんですね。屈斜路湖のクッシー、池田湖のイッシーについても書かれていません。
また、「魔の"帰らざる空域"」という記事は、1945年12月5日にフロリダで起きたTBM雷撃機行方不明事件を紹介したうえで「アメリカ大陸南東海岸沖の比較的限られた空域で、いまで二十機以上の航空機が、跡かたもなく消滅し"帰らざる空域"と呼ばれ、恐れられている」と書くのですが、世に知られた「バミューダ・トライアングル」の呼び名は全く出てきません。
書かれていないものと言えば、「未来は予知できるか?」と題した記事があるのに、ノストラダムスはノの字も出てこない。
私は過去に「五島勉以前のノストラダムス」という記事を4回書いております(#1は2007年3月28日付#2は2007年11月25日付#3は2010年8月16日付#4は2010年8月22日付)。1967年の「妖怪人間ベム」の絵コンテや1968年の「ウルトラセブン」の没脚本にもノストラダムスが登場しているのですが、この頃はやはりメジャーではなかったようです。でも1971年の『なぞ驚異 世界のなぞ 世界のふしぎ』にはかなり詳しく書かれているんだよなぁ。