/機動戦士ガンダムAGE#37

「ヴェイガンに愛が無いのなら、おじいちゃんからもらった愛を受け取って! シグマシスライフル!!」

なんかもぅ、「死に至る風土病のため、愛を抑え込むニヒリズムに陥っている」という設定に製作者が酔ってるのがなあ。

死病が避けられない、なのに地球と戦争を続けられるほどの生産力(労働力)や兵力を維持できているのは、つまりそれだけ出生率が高いということ。レプリカントの設定は無いようだから、となれば女性は「生む機械」状態で、年1回ペースでの出産が義務付けられてたりするんだろう。

そういう文化を何世代も重ねているのに、「火星圏の民は死の恐怖と戦いながら、子をつくり、人の歴史をつないでいる」なんて生っちょろいこと言うわけないやん。

効率的に妊娠するために人工受精が原則となり、望まなくとも子供を産むから、愛情というものが稀薄になっている……というならまだわかるけど、家族や自分の子供には愛情を抱いているってことになっている。製作者が「愛を知らない悲しいヴェイガン♪」で思考停止していて、設定をまるで煮詰めていない。

とにかく火星という異世界の設定・演出は総じてダメダメ。まず「何で言葉が普通に通じるんだ?」というのは小学生だって気になるだろう。

それは置いても、「お前は地球人代表としてヴェイガンの生活を見てこい」という台詞が前提なのに(つまり「地球 対 火星」が対立項となっているのに)、一般市民の兄妹が「お前、よそ者だよな?」とか「外の話が聞きたいの」とか言い出した日には一体何事!!? かと思ったよ。

あれは「火星の居住可能区は複数あって、各地方に違った習慣があって、あまり交流はないから「よそ者」はわかる」ということであり、「ずっと家にいるから家の外の話が聞きたい」という意味でしたが、「地球 対 火星」の前提を覆して「火星のある町 対 別の町」の会話にスライドさせるなら、もうちょっと言いようがあるだろう。

しかもたったあれだけでイゼルカントは「火星圏がどんなところかわかったか?」ときたもんだ。ここでまた唐突に「地球 対 火星」に戻るから落ち着かない。
あの兄妹が火星代表というわけでもあるまいに……。それとも、ひったくりからこっち、全ては仕込みだったんだろうか。