謎のリスト2011

年末恒例「謎のリスト」。何がどうしたのか今年は10点にも及びました。

あだにえーなも中村

あだにえーなも中村

謎のリストの中でも謎の一冊。元々は名古屋市下の郷土史シリーズの一冊だったのが、中村区を紹介したこの本だけが独立して刊行されました。全く縁もゆかりもない土地の郷土史を読むというのも、それはそれで新鮮。
オペラ演出家の読み解く オペラ 『蝶々夫人』

オペラ演出家の読み解く オペラ 『蝶々夫人』

最近またテレビドラマ化されて注目度が上がっている? 蝶々婦人の解説。読みやすく、かつ結構ディープな内容なので入門書としておすすめ。
ある銀行員の証言

ある銀行員の証言

ジャンルでいえば自分史なんですが、プライベートの話は少なく、次から次で仕事上の事件が起こるので退屈しません。激しい労働争議や競輪場の暴動の顛末などは、戦後近代史の様相。
太陽革命

太陽革命

哲学というか思想というか、ぶっちゃけ「ぼくがかんがえたあたらしいしゅうきょう」的内容なんですが、そういう本には珍しく冷静で理路整然としていて、ちょっと不思議な読み味です。
存在論ノート

存在論ノート

これまた哲学的な。正直、全体にあまり新味は無いのですが「気持」という概念がちょっと面白いです。
トランスレーター ある日本人戦争捕虜の八カ月

トランスレーター ある日本人戦争捕虜の八カ月

今年はこれが最大のヒット。太平洋戦争終結後、シンガポールで捕虜になった著者が捕虜収容キャンプで綴った日記です。他の日本兵捕虜が肉体労働に就業する中、英語に堪能だったため、ひとりデスクワークに従事していたという距離感が絶妙。収容所での自身の経験でありながら、一歩引いた客観的な視点でその状況を見ています。「戦後における日本人の米英との接触」という切り口で見ても、占領下の内地で起きていたこととまた違った形で濃密に英国人と関わっており、これまた戦後近代史として面白い。
欲をいえば、活字に起こしたものだけでなく、元の日記をスキャンした画像も掲載して欲しかった。
謎オチ噺 安楽寄席探偵の事件簿2

謎オチ噺 安楽寄席探偵の事件簿2

以前取り上げた「安楽寄席探偵の事件簿」の第2弾。刊行に先立って、著者の鎌田様からコメントをいただいたりしました。しかしこれ、表紙のデザインが全く違うので…、
安楽寄席探偵の事件簿

安楽寄席探偵の事件簿

ちょっと続きものには見えなかったり。もっとも、マクラという形で基本設定を説明しており、こちらから先に読んでもわかりにくくはないと思います。
落語とミステリの融合、という趣向は前作同様ですが話のバリエーションが大変なことに。落ちが無く循環し続ける話の「のっぺらぼう」から引っ張って、ミステリのジャンルのひとつ(ってことになってるのね)リドルストーリーに絡めるという力技もみせてくれます。○○ミステリだというとその時点でネタバレになってしまうために迂闊なことが言えない…と言った時点で勘のいい人にはバレてしまう例のアレもあります(こっちはさすがに落語には絡んでませんが)。
碧い空

碧い空

いろんな意味で凄い小説。世の中にはこういう作品もあるんだなあ。
答えはひとつ 心 読んでみつけよう

答えはひとつ 心 読んでみつけよう

自分史というかエッセイというか。人生訓とか健康法とか。
詩集 いつかどこかでぼくの未来に

詩集 いつかどこかでぼくの未来に

私は散文詩に価値を認めないので。もうちょっと遠慮がちにいうと「私には散文詩の鑑賞法がわからない」ってことですが、どっちでも変わらんね。

このほか、番外としてもうワンタイトル。

スタート・アゲイン 上 (Forest books)

スタート・アゲイン 上 (Forest books)

スタート・アゲイン 下 (Forest books)

スタート・アゲイン 下 (Forest books)

刊行されたことは知っているけど未入手です。