花咲くいろは#7

無茶苦茶面白かったんだけどそれはさておき。やっぱり細部の粗が目に付くんだよな〜。

「あんなサバゲーマーおるかい!」とか「後輩のためにお客様に嫌がらせとかどういう思考やねん!」とか「嫌がらせが逆に良いように取られるとか何そのご都合主義」とか、ここらへんは「描いてもいい嘘」だろう。ウソというか、常軌を逸したところを面白がるべきギャグだからリアリティの欠如を気にしちゃいけない(サバゲーマーの中にはあの描写におかんむりの人もいるようだけど、そこは私は触れない)。

しかし、旅館勤務の細部に関しては、もうちょっとリアリティのある、かっちりした描写を心がけて欲しいものだ。いわゆる「お仕事もの」の作品は「大多数の視聴者がお客様としてしか接してない仕事には、実はこんな内幕があるんですよ」と見せることが肝のひとつなのだから。

今回気になって仕方ないのは緒花となこちとの「ねぇ明後日どこか遊びに行こうか」〜「また休み無しか」という会話。旅館に限らず接客業の悩みといったら「土日祝日に休めない」で、そのうえ緒花たちは学校に通ってるから何にしても休みの日はないはずで、この台詞は引っ掛かった。

もちろん、「明後日(の放課後に)どこか遊びに行こうか」ととれば意味が通るけど、そういう問題でないのよ。休みに関する会話をするなら、そこに旅館勤務ならではのエッセンスを盛り込むべきでしょ、と。それは巴さんの男日照り状態にも絡められたんだし(休みの日が合わないから親密な交際ができない、というよくある話)。

休みに関してもうひとつ「えぇ!?」と思ったのが、申請すれば巴さんでも有給休暇を取れそうだった女将との会話。そもそも常勤の仲居さんが一人しかいないのが不自然なのだが、キャラクター配置上それはどうにもならない以上、休暇や勤務時間など労働条件の問題は言及を避けるべきだった。あそこの女将の台詞は「おくやみかい?」くらいが良かったんじゃないだろうか(葬式でもないと休みが取れない職場、という……。蛇足だが、これまでの描写からすると巴さんは5AM〜8PMの1日15時間労働、この第7話では風呂掃除中の23時過ぎにまだ働いていた。なんぼなんでも働き過ぎです。もういっちょ蛇足。カレンダーが何故か2010年の3月だった。前回にはちゃんと今年の5月のカレンダーが下がっていたのでこれは凡ミス)。

ほかにも、「団体さん」と言われていたのが4人のグループ客だったり、サバゲーマーグループがなぜ常連なのか一言も描かれなかったり(前回と合わせてかなり重要な要素だろうに)、全体として「お仕事もの」としての精度が低いんだよね。だから、冒頭に上げたようなギャグ要素のほうに作品全体のムードが引っ張られて、絵空事の世界になってしまっている。

好きか嫌いかで言ったら好きな作品だし、間違いなく面白いんだけど、出来不出来を言うと不出来な作品、という微妙な評価になってしまうのであった。