国立科学博物館のYS-11の価値とは

YS−11や理研事業仕分け前に調査
4月19日19時30分配信 TBS

行政刷新会議の仕分け人一行が訪れたのは、羽田空港の格納庫。目の前に現われたのは、戦後初の国産旅客機「YS−11」です。1965年に旅客機として初フライトを迎え、99年に引退。以来、歴史的な価値が高いとして、文部科学省の独法、国立科学博物館が所有しています。

しかし、巨大な機体を展示するスペースがないとして、ここに保管されたままの状態となっているのです。

「ごめんなさい、整備はよく分かるんですが、つまりこれだけ貴重なものをやはり国民の多く、あるいは内外の方たちにお見せするのが文化財だと思うが、そのメドは?」(民主党 蓮舫議員)
「将来的には何とかこれをいろんな形で・・・」(国立科学博物館の担当者)
「メドは立っていない?」(民主党 蓮舫議員)

整備や保管にかかる費用は年間およそ900万円。このため、機内も良好な状態に保たれています。歴史的な価値は認められつつも、「展示に向けて努力すべきだ」といった指摘が相次ぎました。

「非常にもったいない。でもここで保存しなければ、この良好な状態が維持できないという極めて矛盾がある」(民主党 蓮舫議員)

ひどいニュースだ。記事というか原稿を書いた奴は何も分かってないのか、それとも分かっていてこんな話に仕立てたのか。

羽田の格納庫で保管している理由は、「巨大な機体を展示するスペースがない」からではない。動態保存だからだ。「機内も良好な状態に保たれています」どころでなく、その気になればいつでも飛ばせる状態にしているのである。だから常設展示・公開ではなく、飛行場の格納庫に置かざるを得ない。「展示に向けて努力すべきだ」と言ってる奴は、一体どんな展示を想定して指摘してるんだ? 動態保存でないなら、YS-11は日本各地で展示されており、さほど貴重なわけではない。

あえて肩を持つ気は無いが、蓮舫はこれが動態保存機であり、そこにこそ価値があると理解しているとみられる。だから「整備はよく分かるんですが」と前置きしているし、「ここで保存しなければ、この良好な状態が維持できないという極めて矛盾がある」とも言っているのだろう。

ところがそのあいだに「「展示に向けて努力すべきだ」といった指摘が相次ぎました」などともっともらしいが発言者不詳の発言を挟み込んだから、ただの単なる展示公開推進派のように見えてしまう。

個人的には、このうえYS-11の静態保存機が増えても無意味だから「動態保存の継続か廃棄か」の二者択一だと思うのだが、ニュースがまず動態保存であることを伝えないのでは、そうした議論にもならない。「仕分け人は素人」とかいう者もあるが、ニュースは視聴者を素人以下の状態にしているのだ。