お台場の144/1ガンプラ、もとい1/1ガンダムの展示も残り一週間余りだが、未だに見に行っていない。なんというか、モノ自体は確かにすごいんだけど、ただそれだけのような気がして…。背後にあるべき物語がどうにも薄くて、いまひとつ魅力を感じないんだよね。
「理由は何でもいいから18メートルのガンダムを作りたかった」&「ブツは何でもいいから夏休みに人を集めたかった」とまで言ってくれれば逆に清々しいものを、そこに「オリンピック招致のシンボル」という意味を被せて、さらに重ねて「現在世界が直面している環境問題と、作品のストーリーに共通点がある」云々というお題目を載っけてしまったグチャグチャがね。かえって「物語」をペラいものにしている気がする。
いやまぁ、この「設定の後付け」あるいは「存在理由は後から考えました」感は、ある意味実になんともガンダムらしいんだけど。それとあれだ、「なんかエラい人の思惑で事が勝手に進んでました」という状況と「それでも現場レベルでは頑張ってます」という雰囲気とかもね。いってしまえば、バンダイナムコのエラい人はゴップ提督らジャブローの総司令部で、実際にガンダムを運用している現場の人たちは、まさにホワイトベースのクルーって感じ。
当然ながら、富野監督もそうしたことを感じていて、不満を公言さえしています。しかし、それでも現物を前にしたら容認できた、というあたりに興味を覚えます。
Real-G 〜1/1scale GUNDAM Photographs〜 (Vジャンプブックス)
- 作者: Vジャンプ編集部,山口規子
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2009/07/31
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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東京都の公有地で建築物を設置する以上、高さ制限などの課題も発生していました。そうした条件がまだクリアされていない時点で、すでに立像の製作が始まっていたという事業計画の進め方もあったので、そういうプロジェクトの在り方に対しても、違和感が拭えませんでした。
つまり、これはプロジェクトを現実に進めていくというプロセスの在り方や意志決定のシステムが、どうにも下手だと感じていました。これは、実はこれまでの『ガンダム』ビジネス全体に通じる、相当に根深い問題だと思います。
と、まずプロジェクトの進行に苦言を呈しつつ、
僕がまったく想像しなかったことに、1/1サイズで立てられた赤・青・黄色のおもちゃカラーのガンダムは、けっしてみっともないものではなかったのです。(略)あれがもっと本当にミリタリーカラーの兵器じみたものだったりしたら、ああいうハッピーでピースフルな見え方はしませんでした。つまり、あの大きさでああいう形になってあそこに立ち現れたことによって、ガンダムの立像は古いリアリティーを覆し、これからのテクノロジーの在り方を象徴するモダンアートとして機能するようになったんです。
という具合に、144倍に引き延ばしたオモチャに、それとしての存在意義を見出してしまいました。こう言われると、自分の目で見てみようかという気にもなる。
まぁ、毒舌イメージが強い富野監督ですが、作品や関連商品が世に出た直後は実は商売人に徹するからなあこの人。巧みに言葉を操り賛辞を送ってファンの購買意欲をかき立てるのが毎度のやり口なので、これがどこまで本音なのか、眉に唾つけて読むべきでしょう。
一方、ファンレベルにとっての「物語性」が伝わってきたのは、先月だかの「ホビージャパン」誌に載っていた、こいでたくの4コママンガでした。
ガンダムを見上げているところに「めぐりあい宇宙」のBGMが流れてきて、若い子たちはなんとも反応しない中で、いい歳した店長だけが思わずホロッと涙を流してしまう、というもの。何故に泣いたか説明できず、「いろいろあるんだよ!」というあたりに共感を誘うものがあります。
そしてときがすこーやかにー あたためる愛ー(たたーん♪)