本当に怖い『怪奇大作戦』#7

一応の解決の後で、またひっくり返してヒヤリ、といえば思い出すのが『怪奇大作戦』第7話「青い血の女」。夜道をフランス人形が歩いてたかと思うと、突如仕込みナイフで襲ってくる、という絵面だけでも十分怖いんだけど、見所はやはりクライマックスだ。

人形は実はリモコン仕掛けでした → 犯人の居場所を突き止めて踏み込みました → 息子夫婦に冷たくされた老人が犯人でした で、事件解決めでたしめでたし……とすればいいものを、老人の背後には真犯人の「あれ」がいるわけですよ。

「あれ」は本当に怖い。なんだかブサイクで、たいした力があるわけでなく(それどころかほぼ寝たきり状態)、でも動機だけは充分にあって、その動機に対して忠実だから自決してお終い…っておいおいおい! なにこの幕切れ!? 理不尽、理解不能、なのにきちんと筋が通っているあたりが、ホントに怖い。

でも、その後のエピローグ部はある意味「あれ」よりもっと怖い。何が怖いって、SRI職員がそれぞれ好き勝手に「あれ」の正体を解釈して、わかったつもりになって、とりあえず安心ってところで、「あれは一体なんだったんだろう?」とまた蒸し返しちゃう牧さん(岸田森)の空気の読めなさが怖い(笑)。

いや冗談抜きで、解釈ができたつもりになれば、内心ではそれが間違いだと気付いていても恐怖が薄らぐものなのに、マッドにサイエンティストな牧さんはそういうのを許さないんだよね。周囲を非難するわけではなく、ただ本人の性分として、恐ろしくナチュラルに場の空気を凍らせちゃう。そこがかっこいいんだけどさ。