/機動戦士ガンダム00最終回

水島精二監督、黒田洋介脚本を以ってしてもなお「ガンダムのTVシリーズ」という怪物を御することができなかったか」が穏当な表現の精一杯。

なんというか、「エンドレスワルツ」の相対的な評価が少し上がりました。天使のガンダムが、信念と愛の力で奈落の底まで射抜き、捕らわれのお姫様を救い出すという、あれはフェアリーテールだから、「戦争がなくなりました、めでたしめでたし」でも許せるんだよなぁと。シリアス基調の雰囲気で似たような結末(第2期があるから戦争は根絶できてないわけですが)に行き着かれても「ハァ?」としか反応のしようがない。

そうした雰囲気やテーマ設定以前の問題として、「イオリアの真意や如何に?」とか「ラグナ・ハーヴェイとトリニティチームとは何者か?」とか「CBの監視者の役目とは?」とか「アレハンドロの真の目的は? そして古谷徹は?」といった、物語を牽引するはずの「謎」の要素が、いずれも唐突に浮上して勝手に話を進めていって、三大勢力やトレミーチームの預かり知らぬ所でバッタバッタと始末されていく、というシリーズ構成はもうちょっと何とかならなかったんですかね。わざとやっていたフシもありますが、それにしたって未消化感が強すぎます。

エピローグでの「実は生きていた」の大安売りも正直勘弁してほしかった。80年代のジャンプ漫画じゃあるまいに、こうも安易に「実は生きていた」をやると、死体が収容されていない登場人物全てに生存の可能性が出てくるし、逆にわざわざ死体をバッチリ見せた絹江の死の無駄さ加減が際立ってしまう。これが正真正銘の最終回で、例えば「ガンダムX」最終回のフロスト兄弟みたいな扱いならば「実は生きていた」も余韻になるけど、まだ第2期があるわけですし……。なお、『逆襲のシャアRPGはWARPSルールでデザインされていましたが、これは多分無関係。

最終回で面白かったのは、「一人の絶対悪アレハンドロを殺して戦争根絶」という安易な決着の後で、グラハムが全く個人的な動機で襲いかかってくるあたりかな。世界征服の野心を討とうが、個人レベルの戦闘への欲望がある限り戦争は続く、というニヒリズム。グラハムがその欲望を星の鼓動…じゃなくて「愛」と呼ぶ可笑しさは、案外と奥が深い気がします。カミーユシロッコを倒した後にジェリドがしゃしゃり出てきて、しかもものすごく奮戦してしまう「Zガンダム」、というパロディにも見えるけど(笑)。