バンブーブレード#23

「嘘と沈黙」
製作スタッフの腹を探るような視聴をしていると、こっちの腹が痛くなる(苦笑)。というのは、コジローの「責任」の話。「部の連帯責任」の理不尽さばかりが強調されることによって、当然あるべきコジローの「指導者責任」がスコンと忘れられている。さて、忘れているのはコジローなのか、それとも製作スタッフなのか? という点だ。

冒頭で「コジローにとって重要なのは剣道部そのものではなく自分の進退」だと見せたうえで、校長室の場面の後に「…誰のための部活だよ」とつぶやいている。このコジローをどう見たものか。

コジロー自身は、幽霊部員の責任を部が負うことについて「…誰のための部活だよ」と言っている。しかし視聴者は、コジローもまた部を私欲に利用していることを知っている。コジローは「連帯責任」に怒りを向けることで、無意識的に、自分自身の無責任や身勝手から目をそらしているのだ。スタッフはそういう人物としてコジローを描いているのだ……と思いたいが……。

いやー、これでスタッフの視点からしてコジローと同一だったら……なんというか、困っちゃうなぁ。困る。

また、よその感想を見ていると、外山たちの再登場が不自然でご都合主義的だという向きもあるようだが、フェードアウトしたままでいるほうがよほど不自然だしご都合主義的だ。シリーズ導入部の最も重要な出来事、「タマちゃんの入部」をもたらした要素だし、アニメではそのうえミヤミヤとサヤの問題の発端になっているし、それをほったらかしにするほうがむしろ問題。2クール26話を一本の物語として締めくくるのに再登場は当然だろう。

興味はむしろ、ここからどう決着を付けるか? にある。タマちゃんは入部以前に戻ってしまって(ここでバンクを使う小味の利いた演出よ!)、しかも退部さえしてしまったが、今後の部に戻る展開の中で、やはり外山らが再び絡んでくるのだろうか?

もうひとつ気になるのが、完全に蚊帳の外に置かれている東のこと。「唯一外山らと面識が無い、今の(関東大会直前までの)剣道部の雰囲気が形作られてから入部した部員」というポジションは、使いようによってはものすごく重要なキーになり得るのだが……。