僕僕先生の書評が面白い

僕僕先生

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かつてヴィム・ヴェンダースの映画『ベルリン・天使の詩』(1987年)に登場した天使は冴(さ)えない中年男の姿で現れ度肝を抜いたが、以後20年、本書は中国の仙人を何と戦闘美少女の姿で描きだす。

さすが巽孝之というべきか、天下の朝日新聞の書評欄で大っぴらに使っていいんでしょうか、「戦闘美少女」なんて専門用語(笑)。マジでさすがというべきは、この奇妙な用語ひとつだけをフックに使って、本文中では一切ラノベの浸透についてふれずに、ふつうに書評となっていること。そのうえでさりげなく、「ボク」と「キミ」とで成り立つセカイ系との相似に触れているんだから見事というほかない。こういう書評を読むと、たまには小説も読んでみるかという気になる。
山本弘の「アイの物語」(asin:4048736213)とかもかなり気になるんだけど、小説の優先順位はどうしても後ろになってしまうのよ。読みたい本ばかりたくさんあり過ぎて、机の前になんてじっとしていられないから(いやおとなしく読めよ)。