クレーム対処の悪例

26日の昼食時、青山の野菜畑という店でのことだ。
タバコ嫌いの私は、女性店員になんやら野菜カレーを注文した後にこう尋ねた。
私「禁煙席はないの?」
店員「?灰皿をお持ちしますか?」
私「バカか」

反射的に声に出して吐き捨てた。当たり前だ、タバコの無い場所を求める客に、灰皿を持ってくる奴がどこにいる。

ところがその店員、対応の非を詫びるでもなく、それどころか呆然と立ち尽くしながら
「そんな言い方……ないじゃないですか。バカって……」
とかブツブツ言っている。こりゃ相手にしてもしかたない、と「ああそう」とか言って無視を決め込む。

念のために店内の状況を書いておくが、私の隣のテーブルでも、その隣でも客がタバコをくゆらせていたのだ(だからこそ禁煙席に行きたかった)。仮に私が喫煙者だとしても、「ここは禁煙?」などという聞き方はせず、ストレートに「灰皿もらえる?」とか言うところだ。

しばらくして、店長とおぼしき髭の男がやってきて、
「先ほどの注文はおもちしてよろしいですか? 当店にはスモークフリースペース(何故か横文字だ)はございませんが……」
「バカか」

とは、今度は口に出して言わなかったが、注文を取り消すつもりがあるならさっさと店を出ている。わざわざ聞きにくることではないだろう。

それはそれとして、なんやらカレーは旨かった。

そして支払い時、あのうすぼけた女性店員から髭にどう話が伝わっているか知れなかったので、レジを打つ髭にこう言った。
「禁煙席が無いのは構わないけど、さっきの店員は「禁煙席はないのか」と聞かれて「灰皿をおもちしましょうか」と言ったんでね、そりゃあバカと言いますよ」
ところが髭は開口一番、
「ええ、当店では……」
と、とても迷惑そうな顔をして言い訳に走ろうとする。
「だから禁煙云々じゃなくて対応がまずいと言ってるんで、そのあたりご理解ください」
と言い換える。しかし髭は
「はぁ……」
「はぁじゃねぇだろ、こんボケ!!」

とまた反射的に言いそうになったが、これ以上付き合ってられないので、口には出さず早々に立ち去る。結局、ただの一言の詫びもなかった。

このクレーム対処のどこがいけなかったかを改めてピックアップすると……。

まず「1.状況から判断できない」(その席が喫煙可であることは誰にも一目瞭然で、わざわざ聞いたりはしない)「2.神経を逆撫でする発言」までは、まぁいいとしよう。しかし、

「3.要らぬ口応え」「4.要らぬ確認」(あれか? ひょっとして私に「出ていけ」と言いたかったのか? ただ一言「バカか」と言っただけで)は全くもって不適切である。私が仮にもっと血の気の多い人間だったら無闇に事態が悪化していたところだぞ。

そして最後に、こちらが事の経緯を説明しているのに「5.人の話を聞かない、聞いているかのようなポーズさえとれない」「6.まず言い訳、とりあえずでも詫びない」。まあ、とにかく酷い店員どもだった。

ただ、料理は大したもので価格もリーズナブルだったので、店員の人間性を問題にしない人にはお勧めしておく。