Aの魔法陣

人の運命を司るのは神か偶然か。
それは時の回廊を巡る永遠の謎掛け。
だが――。

あの芝村がつくったTRPGルールということで、噂だけは聞いていたが実際にルールを見るのは初めて。

……うーむ。TRPGと見ればいかにも斬新ぽいけど、これってTRPGというよりは「複数の人間が協力して物語を即興で紡いでいくという行為に補助線を引くツール」だな。確かに前代未聞ではあるのだが、研修とかカウンセリングとがでやる「ロールプレイ」を「ゲーム」たらしめるギリギリの要件を示したもの、と言ってしまうと大したものでもないような気がしてくる。
つか、この『Aの魔法陣』が求めるだけのスキルをもったマスター及びプレイヤーはルール無しでもきっちり楽しく創造的なロールプレイをこなせるのではなかろうか。『Aの魔法陣』が仮に、「物語を紡ぐ行為」を格段にスムーズに、あるいはイマジネ―ション豊かにできるものであるなら存在意義もあろうが……。どうなんだろうね実際? 「格段に」でないならそれこそファイティングファンタジーかAFFで十分だし。

だが、芝村が運命を委ねるは、
「成功要素」と呼ばれたキャラ特性。
7つの螺旋の世界を走り抜ける旋律が、
今、対話の中に甦る。

ただひとつ興味深いのは、芝村がこれを汎用システムとはいわずに、セブンスパイラルの世界を再現する為のゲームシステムと言っていることだ。ゲームシステムとは世界観の重要な表現方法である、という基本に立てば、ランダムを極力排し(冒頭の説明用リプレイから「ダイスは振らないにこしたことはない」と明言)、人の発想力で事態を解決することに重きが置かれているという事実は、『ガンパレードマーチ』その他の諸作品をより深く理解するうえでも重要な鍵となるのではないだろうか。