ゾイドジェネシス#30「魔物の森」感想

先週のエンディングの話題が気になって今回から観てみた人は、肝心のミィは微妙な作画だしサカナ振り回しているし、主役はデカイおっさんとむっつり男、おまけにメインのヒロインはバアさんで、一体どんな番組なんだと思ったことだろう。コトナのほうは来週も出番なさげで、狙っているのか外しているのか、この半端さが実になんとも「ゾイド ジェネシス」であることよ。
閑話休題、今回は開幕5分でそれとわかるふでやす脚本回だった(笑)。「ゾイドが操縦不能になる魔物の森」というありがちな設定を、「いきなり踊り出す」という過剰な見せ方で笑いを取る方向に転がすのがさすがというかなんというか。
メインプロット、「ばあさん自身が他ならぬダンブル」という結末は誰にでも予想できるためか、墓参りのシーンを挿んで「やっぱり他の人?」「そのうち姿を現すと言っていたのに死亡?」などとミスリードを図りたかった模様。しかしこの伏線の落着点となる最後の墓の描写、地中にケーニッヒヴォルフが隠されていたという事実の印象付けが弱いために、「墓に埋もれていたのは自分自身のゾイド乗りとしての過去」という真相が見えづらかった印象。多少くどくなっても、台詞で説明を補うべきだったと思う。
一方、人物の配置、造形の掘り下げについては、ふでやすかずゆきらしからぬ(失礼な)小味の利いたもの。いや、ふでやす回は「深さ細かさ無いけれどギャグとノリとで大まかカバー」なものだと思っていたので。師匠とダンブルとで、「競技会で死者を出して厭世にとらわれ隠居している」ことは共通させておき、しかし人生経験には差があることを浮かび上がらせて、今にも死にそうな勢いだった師匠を巧いこと希望へ導いていった。しかもその希望とは他ならぬルージで、シリーズ全体の構成にも綺麗に落としこまれている。また、ばあさんという設定を単なるサプライズに終わらせずに、家族を思うガラガの台詞を伏線として生かしたうえで、最後に母親に言及する話運びも巧妙。肝心の病気はどうにもなってないんだけどね。
ガラガはガラガでいつもどおりのギャグ担当だが、「月は出ているか?」の台詞とともにサテライトキャもとい、バイオメガラプトルを逆に罠にかけていたことが明かされるあたりは常ならぬカッコよさ。「腹の立つときほど冷静に」というばあさんの助言をきっちり生かしていて、1話での完結性も上々だった。まぁ次回以降はまた単純バカに戻るのだろうが(笑)。

ゾイド
ソウルタイガー絡みでは、先々週からつづいてのパワーアップセットお披露目描写。このところ、シリーズ中盤までからは想像もつかないほど、番組と商品展開とがカッチリ連動している(バイオティラノはいつ登場するのだろう…)。しかしもっと力を入れるべきは単価が高い(=ちゃんとPRしないと商品が動かない)うえに場所を取る(=動かないと小売店にとって邪魔になる)ギルドラゴンだよな。同様に「高い・でかい」のデッドリーコングは予想どおり不良在庫化して、定価売りが原則の上野ヤマシロヤで2割引、秋葉原ヨドバシカメラでは個数限定2000円の処分セールまで始まった。通常は、商品が最も動くクリスマスシーズンが過ぎた後で在庫処分が始まるのだが、あまりにも売れないためにクリスマスを戦えないと見られた模様。スペースを空けて、他のもっと売れる商品を置きたいというハラだろう。アニメで活躍しているデッドリーコングでさえこうなのに、ギルドラゴンは果たして……と心配になる(もちろん一消費者としては、安く買えるのはありがたいのだが)。
キングウルフは色と装備がFZ仕様のMkII。バイオゾイドにはリーオの武器しか通用しないとわかるや、ミサイルをただ牽制のためだけに使ったり、スコープを展開してデュアルスナイパーライフルをスナイパーらしく使ったりと、力押しでない、渋い裏方を務め上げて好印象。「ミサイルや銃弾はどう補給してるんだ?」は気にするな!