サムホェア/タイム/トラベラー

またまた「サマー/タイム/トラベラー1(ISBN:4150307458)」「2(ISBN:4150308039)」についての話題。1巻の感想は7月1日付、2巻の感想は7月23日付、そして「辺里市はどこにあるのか」について8月15日付で書いています。また関連情報として、同書刊行以前に書いたイリノイ州ゲイルズバーグに関する小ネタが5月11日付にあります。 
自分のエントリを読み返して思いつくというのもマヌケな話だが、東山本線のルートにはもうひとつ、大きな謎があることに気づいた。「サマー/タイム/トラベラー1」「2」に掲載されている辺里市の歴史地図とその解説を改めて見ると、辺里を通る街道ができたのは近世になってからだ。
さて、一体なぜそんな街に東山本線が通ったのだろうか?
東山本線はその名称から考えて東山道(中仙道)をなぞるルートと思われるが、辺里を通って松本に抜ける街道は「深志街道」という名だ。深志とは松本の古名とのこと、東山道の脇道とみるのが自然だろう。東山本線なぜか、東山道とは異なるルートに敷設されているのである。
この謎に関して、ああでもないこうでもないと色々考えを巡らせたのだが、地図で調べてみると、得られた答はあまり面白いものではなかった。結論から言うと「辺里市のモデルは上田市である」、ただそれだけだ。東山道(中仙道)は通っておらず、深志街道(松本街道)が通っていて、東山本線(旧・信越本線)は通っているという条件にピタリあてはまるのだ。ただし松本との位置関係は上田とはずいぶん違っており、そのあたりは架空の街の架空たる要素であろう。
上田市がモデルだという指摘は既に他の方がされているので、私にはつまらない結論だったのだが、まぁ「(東山本線が通っているのに)東山道が通っていない」だけを手がかりにしてここにたどり着いたことが、鉄道マニアらしくてよかったな、と思っておくことにする。