漫画で喫煙描写6%の嘘

つーか嘘と呼べるほどのレベルですらないよなあコレ。
】(共同通信 1月14日)

 主要な少年漫画5誌に登場した喫煙シーンは、ページ換算で全体の0・38%で、喫煙の描写が1カ所でもある作品では平均6・4%に上るとする調査結果を、厚生労働省研究班が14日までにまとめた。
 主任研究者の尾崎米厚鳥取助教授(環境予防医学)は「少年がよく読む漫画誌に、かなりの喫煙場面があり、影響が心配される。未成年の喫煙との関連を調べたい」としている。
 調査したのは週刊少年ジャンプ集英社)、週刊少年マガジンコミックボンボン講談社)、週刊少年サンデーコロコロコミック小学館)。1994−2002年の偶数年、5年分を検索した。

こんな記事読むのにリテラシーも何も要るまい(苦笑)。「なんとかしてまとまった数字を出したい」というのが、ここまで見え見えの調査も珍しい。「喫煙の描写が1カ所でもある作品」なんて抽出の仕方は、誰だって「オイオイ」と思う稚拙なゴマカシなのに、その数字を見出しにしてはいかんでしょ。私が注目するのは【1994−2002年の偶数年、5年分】というサンプルの選び方。直近5年分にしなかったのは、おそらく年々喫煙描写が減っているから、研究班はなんとかして昔の雑誌からカウントしたかったのでしょう。94年といえばタバコのTVCM規制すら緩い時期で、『ウィキペディア』によれば5時〜20時だけが禁止時間でした。その後は、

1995年10月からは更に禁止時間を強化して平日は5時〜23時まで、土・日・祝日は終日禁止となった。(中略)また学校(小・中・高校)から100m以内の地域では看板広告も禁止された。そして1998年4月より放送でのコマーシャルが全面禁止となった。2002年4月からは未成年者の読者が25%以上を持つ雑誌の広告掲載も禁じられている。

という経緯。これが漫画の喫煙描写を直接的に抑制するわけではありませんが「喫煙を描いてはいけない」空気は漫画雑誌も当然読み取っていたはずで、次第に減少しているものと思われます……ていうか、それこそ「広告規制の経緯と漫画における喫煙描写との関連性」を年を追って調べれば、よほど実のある調査になっただろうに。始めに結論有りきの調査など、労力の無駄としか言いようがありませんな。
04年中の調査であるにもかかわらず03年が入っていないのもクサい。03年5月には健康増進法が制定、喫煙環境は一気に厳しいものとなりました(タバコ嫌いの私は「ざまぁみろ」ですが)。そうした社会的な動きが漫画に反映されていることを恐れて、03年を外したのでは……とも邪推できます。