「究極超人あ〜る」と踊り子

さて、「あ〜る」に描かれた185系なのだが……駅弁を買うかなにかで、窓を開けるシーンがあるのだ。いや、それだけなんだけど。「あ〜る」は学生の頃、レンタルビデオを私の部屋で3、4人で観たのだが、くだんのシーンでは私ひとりが「特急なのに窓が開くよウヒャヒャ」と大ウケ、他の連中はポカーンだった。特急型電車の窓は、日本の特急型電車の始祖151系の昔から「開かない」ことになっている。その特徴の上に成り立つサスペンス映画「天国と地獄」なんて作品まであるほどだ。固定窓は「空調完備だから窓を開ける必要がない」という、特急型電車のいわばプライドなのである。ところが185系の窓は開いてしまう。何故かと言えば、そう、普通列車として運行するときのためだ。開けられる窓は、あしくも悪くも他の特急型車両にはない、185系ならではの特徴なのである。それをさりげなく劇中に盛り込むあたりに、「あ〜る」のスタッフの「濃さ」がうかがいしれよう。まぁ背景を知らずに「取材してみたら窓が開くので使ってみました」だけかもしれないが、それはそれで、よくまぁそんな細かな部分に注目したなと感心すべきだろう。
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写真左奥が問題の185系踊り子号、手前は251系スーパービュー踊り子号。国鉄が最もダメだった時代の象徴とバブルの象徴という好対照だ。日向と日陰が逆だったらネタ写真として完成していたのに惜しいな(笑)。ふつうの旅行者には多少スケジュールを変えてでも手前の「スーパービュー踊り子」を選ぶことを強くお勧めする。
天国と地獄 [DVD]
黒澤明監督のサスペンス映画。昭和38年・東宝