非公認戦隊アキバレンジャー#11

「つまりこれは路線変更……
 てこ入れなんだ!!
まさかこんな話になるとは……。
いやまぁ、一時は予想していたことではある。「妄想世界」の中でないとヒーローになれない、という設定を生かすためには、「作中の現実世界」は「視聴者の現実世界」とほぼ等しいものでなければならない。そして実際、序盤はそういうバランスで話が構築されていた。
ただ、「作中の現実世界」には「視聴者の現実世界」と大きく異なる点がある。ひとつは「戦隊シリーズが頭抜けた人気コンテンツであること」で、そこにはまぁ特に引っ掛かりは感じていなかった。
問題はもうひとつ、「『にじよめ学園 ズキューーン葵』が頭抜けた人気コンテンツであること」。この設定が不思議だった。ストーリーを構成する上で必要な要素ではあるけれど、それにしても悪目立ちしている。
そのうえでMMZは『ズキューーン葵』より前から存在していたかのように匂わされたから(第7話で博世がMMZに向かって「あなたは一体誰?」と問うている)、「これってひょっとして『作中の世界は視聴者の現実とは違うんですよ』というメッセージじゃないのか?」と思っていたのよ。んで、MMZを作り、『ズキューーン葵』を人気コンテンツに育てた者として、作品外世界の関与がクローズアップされるんじゃないかと予想していた。
続く第8話は『ズキューーン葵』から始まり、逆説的に「作中の現実世界」は虚構だと強く印象付ける(「作中の現実世界」では神回と評価されている作品だが、「視聴者の現実世界」においてはわずかな時間のオープニングしか存在しない、というギャップを明示している)。
この段階でそれをやる意味といえば、当初は
「視聴者の現実世界=作中の現実世界>妄想世界」
だったのが、「妄想世界」から「作中の現実世界」に越境するようになり、
「作中の現実世界=妄想世界」
と移行したため、現実のレベルをズラして、
「視聴者の現実世界>作中の現実世界=妄想世界」
とした、と捉えられた……。
……んだけれども、そこらへんは結局、博世の父であるドクターZの過去のいきさつに吸収され、MMZより先に葵のデザインがあったと明かされてしまった。なので、「ああ、やっぱり『現実世界』のレベルをどうかするような展開は無しなのか」と思いなおしていた。
……そこへもってきて、この11話だよ。
いやまさかテロップチャンスが伏線だったとは……。
ほかにも、「公認戦隊になること」を目標としていた彼らが本当に公認っぽい番組になったとき、それを自覚できないばかりか「いつもならこんなの着ない」とジャケットを脱ぎ捨ててしまう哀しさとか(作中の人物であるが故に「公認になりたいと願う非公認戦隊」でありつづけなければならない)、なんかまぁ色々大変な番組になっちゃったなあ。
この先(ていうか実質的な最終回)には「番組内の人物である赤木たちが、どうして自分たちは番組内の人物だと自覚できたのか?」という、逆の謎解きが期待されるわけですが、さてどうなることやら。