緋色の欠片

何故に見続けているかといえば、異文化に触れる面白さがあるから。「能力バトルありの伝奇物」の部分には割と馴染みがある一方、未知の「乙女ゲー原作」の部分が濃厚にあって、それが実に新鮮だ。

前々回、主人公サイドの野郎どもは初戦でボロ負けしてしまう。少年漫画系のフォーマットならば、ここから鍛え直してリターンマッチでの勝利を目指すことに何の理由も要らないのだが、このアニメだと「俺達は守護者だから、その使命を果たせないとただの化け物になってしまうから勝たなければならないんだ」という、存在意義の問題に話を膨らませてしまう。「負けたままでは悔しい」という理屈無しの感情が薄いのだろう。だからそれなりの理由が必要で、その心情をいちいち語ってしまうのだ。

しかもその上、ヒロインに対して「いいからお前は黙ってろ」「お前に俺達の気持ちなんてわかんねーよ」と辛く当たる。か弱い乙女に対してですぜ。大体、お前らが果たそうという使命はそのヒロインを守ることなのに、なんで当り散らしてるんだ? ……なんでかといえばヒロイン≒プレイヤーだからだろう。プレイヤーだから、多少辛く当たられても耐えられる。そういう計算の上にキャラクターの関係が成り立っている。

そんなギスギスした関係を今回もまだ一人引っ張っていて、普通にアニメとして観ると「女々しいなォィ! ていうかウザッ。いつまでやってんだよ」って感じなのだが、そこでヒロイン越しのプレイヤー視点になると「あぁ好感度下がり過ぎちゃったな。順にフラグ立ててイベント回収して回復させないと」と、落ち着いて観ることができるのだった。

ぶっちゃけメインストーリーはもの凄く貧弱で、敵の内部分裂がどうとか国家機関がどうとかは背景程度。能力バトルや特訓もろくに描かれない。「すげぇなあ、ここまでヒロインと野郎どもとの関係に重点化するか、これが乙女ゲー原作アニメなのか」と思い知らされる。

第1話の感想に「「みんなで鍋をつついておじやにして終わり」ではダメだろう」と書いたけど(4月7日付)、乙女ゲー原作アニメならあれもアリなんだな。うん、面白い。