/機動戦士ガンダム00#23

陰でこっそり利敵行為を働きつづけ、ついには裏切りの意志を明らかにするも果たせずあえなく死亡…。留美、ネーナときてリジェネとこれで3人目か。3人に共通しているのは、「何のための利敵行為だったのか、あるいは逆に、なぜ敵とすべき者についていたのか」が視聴者にはサッパリわからないこと(苦笑)。元より誰に仕える気も無さげなネーナはいいとして、台詞だけで唐突にお家の事情を説明した留美は大概ですし、リジェネに至っては何がやりたかったか全くわからない。それぞれの人物設定と目的が整理されていれば、こうはならないと思うんだがなあ。
留美】 家という故習からの解放、そのための革新の支援(どうでもいいが、長男もそこそこマトモなのに「なんか決断力無いよねー」だけで妹に当主を継がせたというのは、王家にしてみれば革新だったんじゃないだろうか)。
【ネーナ】 アレハンドロの野心の駒として作られた兵士、その存在意義の崩壊を埋め合わせるための服従と裏切り。
【リジェネ】 革新には人類の協調が欠かせない。だが、革新の先鋭たるイノベイターまでもが我欲に走るという、イオリアの計画の危うさを表す存在。
……こう書き出すと、面白くなりそうな要素はあるんだよな。ネーナなんかは、戦争の駒として生きることを自ら選んだ傭兵、戦争を継続させるために裏切りを繰り返すサーシェスとご同類だし。どうしてこれが活かせないのか、惜しいねえ。

唐突に移民艦ソレスタルビーイング登場。こうなると「イオリアは異星人」という突拍子も無い予想が説得力を帯びてくる。建造したのはリボンズだとしても、自分の途方も無く壮大な計画がこの段階まで進行するなんて、普通の人類には確信できませんぜ。そもそも、現状唯一の外宇宙航行艦を200年前に設計していたというのがムチャな話(ちなみに2009年の200年前は、外輪式蒸気船が試運転に成功したくらいの時代)。実は異星人だというほうが、よほど辻褄が合います。

比喩抜きで、イオリアの物語上の役割は「神」だしなぁ…。その計画に一切の誤りは無く、計画から外れたことも起こらない決定論の世界。リボンズは偉ぶっているけど何もかもイオリアの遺産頼みだし、リボンズに謀反を起こしたリジェネさえ「これでイオリアの計画は僕の物だ」とか言ってるくらいで、その絶対を疑っていない。実在する神をファンタジーではなくSFとして消化するには、やはり異星人ってことにするよりほかないのでは?

だもんだから、イオリアが実は生きていても驚かない。つーか、イオリアコーラサワーに限らず「実は生きていた」が無制限で使える作品だしね。この先、「よく私たちの仇を討ってくれたね」「ほんと、親孝行な子だよ」「パパ、ママ!?」「実はあのときセーフティシャッターが作動してたんだ」とか、「ジャーナリストをなめないで! アロウズの正体、全世界に知らせてやったわ」「姉さん!?」「実はあのとき脳死には至ってなかったの」とか、「本当にすまなかった、これからは親子で仲良く暮らそう」「父さん!?」「実はあのとき色々あって脱出できたんだ」「やっぱり死ね! もう一度死ね!」とか、そういう展開があっても私は驚きません。

前回予想した「勘違いするな」はグラハムではなくマネキンが言ってしまいました。

物語の幕開けを飾った、刹那とリボンズの因縁たるOガンダムは、しかし脇役の乗機として1カットのみの登場。わざわざ色を塗り替えてまで再登場させて、これで終わりということは無いと信じたいのですが……。単に商品化に合わせての登場なのか?