最近買った本

こうして書き留めておかないと、積ん読どころか以下同文。いや、いきなり読み終えたのとかもあるけど。

「日本の唱歌」と間違えて買ってしまったこの本(嘘)は、1954年の第1回東京モーターショー(当時は全日本自動車ショー)から69年の第16回までに展示されたショーカーをしょうかーいする写真集。年を追って、当時の自動車の普及率やそれに関連した社会情勢の変化を解説しており、読み応えもそれなりにある。そうした社会情勢とショーカーとの、付いたり離れたりの微妙な距離感も面白い。

『旅』を新潮社に身売りしたときは、この先どうなることかと心配したJTBの出版部門だが、その後も相変わらずCanブックス・シリーズでディープな鉄道趣味の本を送り出している。これまた恐ろしく間口の狭い本だが中身はぎっちり充実。ただし、「読む本」というよりは必要に応じて開く「資料集」だろう。とりあえずパラパラとめくり、これまでに載ったことのある路線の記事を読んだ後、本棚へ。巻頭のカラー記事は「そういや鹿島鉄道くりはら田園鉄道も3月で廃止だっけ、乗りに行かないと」と思い出させてくれた。

おぞましいりゅう

おぞましいりゅう

「ある夜カエルたちが空を飛んだ」というただそれだけの話を、全く文章無しで、極めてリアルなしかし愛嬌あふれる絵で描いた「かようびのよる」(ISBN:4198611912)のインパクトが凄まじかった(カエル嫌い以外の全ての人にお勧めできる洒落た絵本だ)ウィーズナーの、今年10月の新刊。「さんびきのぶたたち」(ISBN:4892385484)のような破茶滅茶なパロディではなく、童話の古典の「再話」という位置づけで、お話は拍子抜けするほどストレート。しかし絵の巧さは相変わらずで、「ああ、こんなに巧く描けたら気持ちいいだろうな〜」と、妬ましくさえ思える。

夜間飛行 (新潮文庫)

夜間飛行 (新潮文庫)

『人間の土地』(ISBN:4102122028)読了、とにかく面白かったので、ひきつづいて『夜間飛行』を読み始める。うち表題作「夜間飛行」読了、後半の「南方郵便機」を残す。『戦う操縦士』(ISBN:4622045249)は「松本零士新谷かおるのマンガみたいな話」なのに対して、『夜間飛行』は「プラネテス」だった。つかロックスミス。冷徹な支配人・リヴィエールのキャラ立ちがとにかく凄まじい。『人間の土地』『戦う操縦士』に比べて観念的な描写が最低限に抑えられており、最も読みやすかった。考えてみれば、『星の王子さま』『戦う操縦士』『人間の土地』『夜間飛行』そして『南方郵便機』と、はからずも発表順とはちょうど逆に読んでいるんだな。

サザエさんの昭和』(ISBN:4760129634)読了。評論それ自体が既に研究の対象とすべきものとなっているが、それぞれがいつ、どのような時代背景のもとで、どのような媒体で発表されたものなのかの解説が最小限なので食い足りない。それぞれの論も、漫画評論が成熟する前に、もっともらしい言葉を並べて体裁だけ評論の形にしたものがほとんどなので(時代を考えれば当然なのだが)イマイチ。