昭和30年代村事業説明会

昨晩書き込んだ記事の「昭和30年代ブームは終息する」という予想とは全く関係無いが、実は昨晩、ツカサの本社ビルに「昭和30年代村計画事業説明会」を聞きにいったのだ。昭和30年代村の詳細はこちらをご参照のこと>(昭和30年代村TOPページhttp://www.222.co.jp/s30vil/)
説明会を聞いての感想は「昭和30年代村自体は成功する…少なくとも失敗はしないが、会員権には投機的価値を含めてあまり魅力がない」といったところ。またしても「天・地・人」で良い点と不安点とを挙げてみる。
 
【天の時】
〇 「昭和30年代テーマはブームを超えて、既にひとつのジャンルとして定着している」。また、昭和30年代に郷愁を覚える団塊の世代がマスとして存在しており、かつ彼らが定年を迎える時期である点も重要。「最初の(<これ重要)本格的な昭和30年代テーマパーク」は注目されるし、人を集められる。
× 「所詮は一過性のブームであり、開園予定の2008年にはもう昭和30年代人気は沈静化している」。また、団塊の世代が片付く20、30年後に不安。「日光江戸村」における「江戸時代」ような、ある種の「異界」として成立すればよいのだが、しかし会社として狙う方向性は「テーマパークではない」とのこと(人が定住することによって成り立つ「共同体」だそうだ)、これが裏目に出て、団塊ジュニアには「映画でしか知らない懐かしさなんてツマラン」とうち捨てられる可能性がある。
 
【地の利】
〇 別荘地としても観光地としても伊豆高原エリアには人を集める力がある。現在も年間動員2400万人という。そのくせ既存の観光施設は陳腐化しているので、新規参入の余地は大きい。公共交通機関でのアクセスは、エントランスの真正面に伊豆急行の駅ができるのはまず間違いなく、こちらは極めつきで良好。
× 今後もなお伊豆に人が集まるのかが不透明(「今」来ているという事実に安心して「そもそも何故来るのか?」が分析不足)。自家用車アクセスに不安あり。ツカサの社長などは「夏ともなると毎年必ず大渋滞が起こる。それほどに人が来るのだ」などといっていたが、クルマ嫌いの私は「それって単に自動車でのアクセスは劣悪ってことだろ」としか思わない。
 
【人の和】
〇 東宝とのつながりができて、村づくりに先立って近隣に『ALWAYS 三丁目の夕日』のセットが移築される予定。立ちあがりはそれで支えられるだろう。大規模な施設を新たに作るにあたって必ず問題となる、地元との関係も良好という。
× 一定数の人間が定住することを前提とした計画の無理。真の故郷ではないイミテーションの「懐かしの時代」に生きることに耐えられるのか? 逆に、形だけとはいえ昭和30年代並の生活を送ることに耐えられるのか? 観光される対象として余生を過ごすことに耐えられるのか?
 
ここらへんのマルバツひっくるめて、なお「事業としては成功するだろう」が私の予想。ただし会員権については、「昭和30年代村に魅力を感じ、その実現に協力したいというなら、一口100万円とはいえ損するものではないでしょう」程度。会員制ゴルフコースなどと違って会員外でも施設利用はできるし、事業説明のときには「あまりお金をかけなくとも作れる」「利用客にとってもエコノミーなものになる」ことをメリットにあげていたのだから価値を上げるとしてもそれ相応、会員権はステータスになり得ないとみる。

ただし、金はあるけど残された時間は少ない人が「なんとしてでも昭和30年代村に住みたい!」と強く思うほどに『定住の地として』魅力ある場所になれば、高騰もあるだろう(住んだり店を開いたりには会員権が必要)。そこが良くも悪くも計り知れない。メインターゲットの団塊の世代と私との間には、まず単純に年齢の違いが横たわっており、「年寄りの考えてることはわからん」ので、彼らにとってどういう昭和30年代村が理想なのか想像はできても、それが当たっているという自信がないのだ。