ビジネス神羅万象

肝心の子供の反応がどうなのか把握していないが、オタ方面で人気がヒートアップしている神羅万象。これが「ビックリマン」のロッテなど食品メーカーの商品なら「フーン」なのだが、興味深いのはバンダイである点だ。購入者の目当ては間違いなくカードだけなのだから、ベンダー売りにせよ袋売りにせよ、カードダスのブランドで売るのがバンダイには常道のはず。あるいは「ムシキング」後追いの、簡単なビデオゲームと連動した商品に仕上げるのが無難だったはずだ(現にドラゴンボールのキャラでそれをやっている)。
にもかかわらず食品分野で世に出て、きっちりヒットしてしまう。メディア露出はバンダイ枠でのCMとホームページ、幼年誌・児童誌がわずかなページを割くのみ。加えて、現状では関連商品も無い。おそらく、そもそもが食品部門発の企画だからなのだろうが……。 〇何故カードダスをさしおいて食品なのか? 〇何故、関連商品を展開しないのか? 〇何故、アニメなどのメディアとの連動をはからないのか? 〇ゲーム性を放棄してコレクション性及び物語性重視に徹したのは何故か? 〇つーかよくそんな企画が通ったな 〇目下の勝因をメーカーとしてはどう分析しているのか、そして今後の展開は――などなど、知りたいことが山ほどある。
しかし、一般経済誌はそれこそ「社会現象」になるまで取り上げないし、提灯持ちでしかないアニメ誌やホビー誌にも新しい潮流を捉える力は無いし、仮に取り上げたとしてもビジネスではなくキャラデザインがどうのバックストーリーがどうの混合率がどうのという視点になる。本来『日経キャラクターズ』が入り込むべきはこのあたりのニッチのはずなのだが、社会現象レベルでないと反応できない、かつ提灯持ちという両者の欠点を兼ね備えた雑誌になってしまっているし (苦笑)。
結局、このあたりの情報を広く伝える媒体が無いために「産業としてのコンテンツビジネスの育成」云々とか言われてもピンとこない……というか、”カンチガイ”出資者と”中間マージンつまみ放題”の業界ゴロと、そしてボロボロの現場しかないというイメージを払拭できないのだと思う。