/自動車用語ガンダム

自動車評の世界に「ガンダム」という用語がある。言い換えて説明するのが難しい(だからこそ用語として定着したのだ)が、アニメメカの専門誌『グレートメカニック』8号を引けば「装飾過多、ガキっぽい、メカっぽい、力み過ぎ、虚勢」「「子供っぽさ」っていうのが絶対に必要」となる。
私が読んだ最古の例は『モーターファン』あたりの初代日産マーチの初代ターボ(スーパーターボではない)の記事だがらもう20年以上前になる。最も露骨な例は『ニューモデルマガジンX』の日産RZ−1の記事中の、車体写真とZガンダムのイラストとのコラージュで、これももう18年前。しかし、定着させた最大の功労者は何といっても三菱自工、わけてもランサーエボリューションシリーズだろう。前掲の『グレートメカニック』でもガンダムの具体例として別格扱いされたほどだ。デザインのみならず、地味な量産型と基本を同一にしながら飛びぬけて強いという成り立ち、サイコフレームこそ積んでいないが先進的な電子制御系ハイテクで武装、シャア並に強くてしぶといライバル(スバルインプレッサ、そのカラーは赤い彗星ならぬ「音速の青」)の存在など、総合的な「キャラクター」にもガンダムに通じるものがあった。
自動車デザインにも流行り廃りがあり、また三菱自工の凋落もあって、近年ガンダムは減ってきている(ていうかそれ以前に新型車自体が減っている)。だが、10年以上前からガンダムなセンスにこだわりつづけ、今年デビューした最新型もまたガンダムだったという大企業がひとつあるのだ。それは……。(続く)