/「ガンダムX」試論(1)

ガンダムX」にはそれなりの思い入れのある私だが、客観的に評価すればやはり失敗作だといわざるを得ない。主人公がオッサン声、作画が地味、演出がショボい、Vから数えて4作目という視聴者の飽きなど、その理由はいくつも挙げられる。だが、最大の理由は「ファーストに呪縛された監督の心情が、あまりにも色濃く出すぎていた」という点に尽きよう。
ファーストガンダムは「人の革新」を示したものの、その後15年やっても何も進歩がない。エスパーではないはずのニュータイプが、限りなくエスパーに近づいている。そうした苦々しい状況を我が身のものとして感じ、「結局ニュータイプって何だったのさ?」という苛立ちを抱えつづけてきた者……ファーストに呪縛された視聴者でないと、監督が何故ニュータイプを(バレ)15年の幻影として清算したのか理解し難いのだろう。詰まるところ「X」は、監督が自身をガンダムから解放するためのガンダムだったのだから。(続く)