映画「SHORT PEACE」

というわけで映画館に行って観てきた。ここで「風立ちぬ」でなくあえて「SHORT PEACE」なのが流石と言って欲しい。いやまぁ、別にひねくれたわけでなく、ロングラン確定の作品よりもいつ終わるかわからないほうを優先する、という常識的な選択です。
んで、「SHORT PEACE」の感想ですが「金返せというほど酷くないが人には勧められない」てなところ。一風変わった映像が見たい、あんまり長い映画は疲れる…という人で、お金と時間と心に余裕があるならお勧めです。オープニングを含めて5本のオムニバス映画。大友克洋絡みでオムニバスというと「MEMORIES」を連想しますが、あっちのほうがずっといい。
http://shortpeace-movie.com/jp/

「オープニング」
いつもの森本晃司。オープニングとしては上々。
 
「九十九」
傘や反物の彩りがとにかく綺麗。話はありがちだがテンポよく進み、雨降る深い森・古びた祠・妖怪の出現・そして…という美術のくるくるとした変化で目を引く。ご都合主義を逆手にとって「このおっさん何者なんだよ!?」的なおかしさを出しているのも巧妙。
 
火要鎮
江戸町民の幼馴染の男女の悲恋というか(ネタバレ→)振 袖 火 事。公式サイトで「巨大都市江戸の大火を舞台としたスペクタクル」と紹介していて、ああ言われてみればそこがアニメ的な見せ場だったなぁという作品。何となく終わってしまって「オチはどこだ!」。つか、なんでヒロインはあっちへ行っちゃったんだか。説明がつけられないなら「お若ちゃん、そっちへいっちゃなんねえ!」に対して「それでも私は…!」とかテキトーな一言言わしとけば後は観客が勝手に深読みするのに、そういう気の利かせ方も無し。
 
「GANBO」
これはどうしようもなかった。戦国時代の山村でのシロクマvs赤鬼のガチバトル……なんだけど、クマも鬼も力任せでボコりあうだけ。体格もファイトスタイルも似たようなものだからアニメ的に単調だった。
途中で鬼は異星人だとバラしてるのに、最後にまるでそれが「意外な真相」であるかのように空撮ショットで宇宙船落下の跡を見せるセンスも理解に苦しむ。それよりクマの正体のほうが問題だろ。途中で「神の使い」だと台詞で推論を出しておいて、オチをつけないとかあり得ないわ。あと、最初から出ているキリシタン侍が最後まで役立たずなのも酷い。何しに出てきたんだアレは。
 
武器よさらば
大友克洋に同名の原作マンガがあるそうで、これがメインディッシュの位置付けらしい。廃墟を舞台にした、4人のパワードスーツ兵チームvs自律歩行戦車のバトルは、作戦・戦術もカメラワークもさまざまな趣向を凝らしていて退屈しません。が、それだけ。他所の感想で「意外な結末」とあって、どれを指すのかしばらくわからなかったのは私が記憶障害に陥っているからではなく、寝てたわけでもなく、意外ではなかったから。しかし思えば80年代では定番のオチだったけど(「武器よさらば」原作は1984年で、例えば「戦闘妖精・雪風」が文庫にまとまったのも同年)今では確かに珍しい感じで、80年代レトロという観点で見たら面白いかもしれない。