ゾイドジェネシス#37「襲来」感想

バイオラプターグイの大軍勢による空襲に、対抗する術のない討伐軍。その混乱にまぎれて運び込まれたソウタの存在が、ズーリの街に新たな騒乱を巻き起こした……というお話。
ゾイド
威圧のためだけとはいえデカルトドラゴンが登場、イメージ映像では、事実上の初登場となるギルドラゴンがなんとびっくりギルベイダー(!!)と激突。これは単なるサービスカットか、それとも今後ギルベイダーの登場がある? グイによる空襲も、設定的にはミスマッチなプロペラ機のような飛行音が、圧倒的な空襲の雰囲気には相応しかった。弱点は航続距離が短いことというのもリアルというかシブい設定だなあ。さらに、デッドリーコングに意思があるかのような不気味さも久々に描写、デッドリーコングvsムラサメライガーの再戦も中々の見応えだった。欲を言えば、背中の隠し腕とムゲン二刀流との絡みも見たかったところ。
【ルージ】
空襲を受けている真っ最中に、実戦では初見のバイオラプターグイの航続距離に考えが及ぶ、というのはいくらルージでも頭が良すぎる気がするが、そこらへんには以前にレインボージャークがレッゲル切れで不時着したことが伏線として働いている、とみるべきか。
ただ、ソウタはどこかの街で徴発されただけかもしれないから殺すな、という弁舌には大いに疑問。ゼルフトでの経験をここで生かすというシリーズ構成は巧いと思うが、これまでは、ルージが殺してきた敵兵がそうした人々である可能性にはふれてこなかったのだから唐突だ。ソウタにしても、対ケントロ戦で殺したつもりだったくせに何を今さらである。道義的に問題があるという意味ではなく、ダブルスタンダードに対する無自覚がスマートでないということで、だから「窮鳥懐に入らば」というか『戦場で出会えば敵であっても』という保留付きにして「今はただの子供」とか言ってくれればよかったのに、と思う(ただの子供はDコング奪って暴れたりはしないが)。これならば以前に、(戦闘そのものは肯定しても)「撤退する敵の追い討ちはダメ」と言っていたこと(第17話)との整合も取れたのだが。
ディガルドとソラノヒト】
条約を交わしての取り引きという設定が、「近代国家」の印象付けに働いているだけでなく、「へたに条文があるからジーンはそれを盾にとって言いくるめることができ、一方のソラノヒトは深く追求することができない」という、ジーンの狡猾さとソラノヒト体制の硬直化を併せて描写するやりとりにつながっていて見事だった。フェルミはやはりソラノヒトで、かつ享楽主義的な裏切り者?

週刊少年ジャンプ06年#3

ボボボーボ・ボーボボ
第2部開幕。まあ予想どおり大して変わっていない。実在の街が(300X年だが)舞台になったのは設定的には大きな変化だが、それがギャグに充分活かされているわけでもなし。

新キャラ「ガ王」はややすべり気味。ていうか「カッコつけでウザくて、可愛さをウリにする? ああ、首領パッチと田楽マンを掛け合わせたのか」と、キャラの狙いどころが見え見えなのは、ナンセンスとしてはまず失策なのでは?
 
読切「World4u_」江尻立真
ウェブサイトでの(現実のほうね)反応が良いのか、週刊少年ジャンプには珍しい、「たまに載る読み切りシリーズ」という独特のポジションを築きつつあるようだ。旧作には、設定の整理が行き届かず短い中に充分語り切れてないケースがままあったが、今回掲載分はシンプルにまとまっている。雪女は都市伝説じゃなくて民話だと思うが(笑)。
 
魔人探偵脳噛ネウロ
ああなるほど、「事件を未然に察知して接触していた」ことを周知させるための広告塔戦略だったか。それにしても、ストーリー上しかたないとはいえ饒舌だな早坂。

常にコートを着込んで隠し武器で攻撃するユキと、「てめーと違って隠すモンがない」と頭突きで決める吾代との対比が、キャラ立てとしてもバトルとしても巧妙だった。